
Photo : Soma Doi(CLOCK)
Text & Edit : Shin Kawase
UTILITY FUNCTIONAL FOOTWEAR
DESCENTE ALLTERRAIN
New Model “MODULARIZE FK”
デサント オルテラインの人気シリーズ、
モジュラライズの最新作が登場
都市生活にも対応できる万能のユーティリティアウトドアシューズとして昨年発売され、好セールスを記録したデサント オルテラインのモジュラライズ。オルテラインといえば、水沢ダウンを源泉に真のモノづくりを追求し、トレンドに流されないアイテムが世界中から支持されるデサントの最高級ライン。アパレル以外にも新たな可能性を見出しているデサントが満を持して放つ、モジュラライズの最新作を取材した。

About MODULARIZE FK
Koki Shono (DESCENTE JAPAN)
Interview

生野貢希 / デサントジャパン フットウェアマーケティング部

デサント オルテライン、モジュラライズシリーズについて
–––あらためて、デサント オルテラインがモジュラライズシリーズを開発した理由を教えてください
オルテラインは2012年にスタートし、昨年(2024年春夏シーズン)からモジュラライズシリーズのリリースを開始しました。「ウェアを源泉とするフットウェア」は、デサントならではの強みとなり自信はありましたが、やはりシューズ市場では後発ブランドであるため、認知に向けたマーケティング戦略が必要でした。一般的に、デサントはアパレルブランドとしてのイメージが強く、特に一部の層には「水沢ダウン」や「スキーウェア」のブランドとして知られています。そのため、既存のマーケットに歩調を合わせることが最短距離と判断し、同時に展開していた“ALLTERRAIN 81”のアパレルコレクションと連動させ、モジュラライズシリーズの独自性をより強調しました。アパレル部門の機能性やデザイン性を受け継ぐことで、トータルコーディネートの一環として提案できるように、最終的には、ブランド全体としての一体感を生み出し、その中でシューズの可能性や幅をさらに広げていきたいと考えています。
–––モジュラライズを購入している方の男女比、年齢層を教えてください
デサント自体のターゲットが男性向けであることもあり、現在のところ、モジュラライズシリーズの購入者はほぼ100%に近い割合で男性です。もちろん、サイズが大きいことは前提になりますが、女性ですとインバウンドの方が購入するケースはあります。ブランド全体としてウィメンズの展開も具体的に進めており、今年の秋冬シーズンから本格的に展開を開始する予定です。年齢層については、40〜50代の男性が中心で、コア層として一定数の30〜40代がいて、近いレンジで推移している状況があります。特に20代の若年層への認知を広げることが今後の課題ともとらえていまして、世代と性別の両面へのマーケティングが必須になると考えています。
–––モジュラライズのコンペティターといえば?
やはり私たちは後発のブランドになるため、コンペティターについて語るのは少し恐縮してしまいます。ただ、ナイキさん、アディダスさん、ニューバランスさんといった超王道のスポーツブランドというよりも、現在XT-6が好調なサロモンさんや、ホカさん、そしてアークテリクスさんのようなブランドが近い存在だと考えています。近年、トレイルランニングシューズが一般的に広く認知され、その上でライフスタイルアイテムとしても選ばれるケースが増えています。そういったブランドの動向には、今後も注視していく必要があると感じています。
–––モジュラライズに何を求めて買って行かれる傾向が強いですか?
デサントというブランド全体に対して、品質や安全性、そして安心感を求める方が多く、それが高く評価されています。そのため、まず大前提として信頼感を持っていただいていることが、私たちの大きなアドバンテージになっています。モジュラライズについても、シューズでありながらアパレルと同じ視点でとらえていただいていると感じています。この信頼性は日本国内にとどまらず、海外でも高く評価されています。特に韓国や中国では販売が好調で、中国市場においては消化率が80%に達しています。さらに、これまでのスノーブーツ展開や、近年の日本ブランド人気の高まりも追い風となり、2025年からはヨーロッパでの展開を拡大していく予定です。
–––モジュラライズ全体の特徴を教えてください(今までのモジュラライズ)
モジュラライズシリーズは、「ニュートラルジャーニー」をキーコンセプトとして開発されています。これは、都市と自然が隣り合わせに存在する中で、その行き来に寄り添う存在でありたいという思いが込められています。そして、どんな環境や条件下でも履く人がストレスを感じることのない機能性とデザイン性を備えたユーティリティシューズを目指しています。「モジュラライズ」という言葉には、建築材料や家具など、構築するためのユニットという意味があり、この考え方をシューズにも取り入れています。例えばソールでは、さまざまなニーズに対応できる機能を一つずつ組み合わせ、仕様やデザインに落とし込むことで、最適な土台を作り上げています。また、ゴツゴツとしたソールデザインには、どっしりとした安定感を持たせるという意図がありますが、実はそこにもう一つ、日本のアニメ文化の影響も取り入れています。具体的には、エヴァンゲリオンやガンダムのようなロボットデザインに見られるメカニカルな要素を、さりげなくシューズに落とし込んでいます。日本企画ならではのエッセンスとして、こうしたジャパンアニメの世界観をひとつのインスピレーションの源泉とし、デザインに反映させているのもモジュラライズの特徴のひとつです。

DESCENTE ALLTERRAIN
MODULARIZE FK
¥36,300
最新作のモジュラライズ FKについて
–––最新作となるモジュラライズ FKのコンセプトを教えてください
モジュラライズ FKは、アパレルの技術を駆使した開発と、そして、あえて靴やシューズではなく、フットウェアという呼称を打ち出しています。これは、「服を着る」という行為と同じように、「フット+ウェア」としてとらえ、より自然に履ける存在でありたいという思いを込めています。FKは、FUSIONKNIT(フュージョンニット)の略称です。アパレルのオルテラインシリーズの中にもフュージョンニットという商品があり、その素材をそのままシューズのアッパーに適用しました。これにより、アパレルの技術とシューズの機能性が融合した、新しいフットウェアを実現しています。

–––特徴、ディテールについてのこだわりを教えてください
最大の特徴は、アパレルで使用される素材をそのままシューズに落とし込んだ点です。アッパーにはニット素材を採用し、ウェアの製法を応用したスーパーソニック加工(超音波溶着加工)と熱接着加工を併用することで、内側に縫い目のないシームレスなデザインを実現しました。これにより、運動性と快適性が両立し、モジュラライズ FKの魅力を存分に体感できる仕上がりになっています。


設計の面では、歩行時の可動域やそれに伴う生地の伸縮を考慮し、部分ごとに異なるパターンを採用。履く人の足にしっかり寄り添い、不快感のないフィット感を追求しました。一方で、ニットは柔らかい素材のため、シューズのアッパーとしては成形しづらいという課題もありましたが、裏面に別の素材を貼ることで適度なハリ感をプラスしました。その裏地には、透湿性・防水性を兼ね備えたメンブレン素材を使用し、日本の四季の変化にも対応できる機能性を持たせています。また、ソール部分はミッドソールとアウトソールの両方をヴィブラムさんと共同開発。優れたグリップ力と耐久性を実現するとともに、日本のアニメからインスパイアを受けたデザインも取り入れ、機能性とビジュアルの両面で完成度の高い仕上がりになっています。

–––このカラーリングにした理由も教えてください
お客様のニーズとして黒やネイビーの人気が高いことも理由のひとつですが、これらのカラーはブランドのイメージカラーでもあり、モジュラライズ FKのコンセプトとも深く結びついています。また、本モデルは「機能美」を訴求するプロダクトであり、現在のモードの流れも汲んだデザイン性を重視しているため、過度に複雑なカラーリングは避けたいという意図もありました。今後の展開として、秋冬にはベージュを新たに追加する予定ですが、基本的にはバリエーションを絞り、ソリッドな印象を打ち出していく方針です。同時に、オルテラインとの統一感を保ちつつ、街履きにもフィットするカラーリングについても柔軟に対応していきたいと考えています。
–––他ブランドにはない「モジュラライズ FKの魅力」とは何でしょうか?
繰り返しになりますが、アパレルとフットウェアの技術を融合させた点こそが、モジュラライズ FKならではの大きな特徴だと考えています。シンプルな見た目ながら、実際にシューズの内部を覗いたり、足を入れてみたりすると、細部にわたるこだわりが随所に感じられるはずです。そうしたディテールの奥深さを楽しんでいただけると嬉しいですね。

–––モジュラライズ FKをどんな人に履いて欲しいですか?
スポーツアパレルメーカーであるデサントが開発するシューズですから、ウェアの素材や技術を取り入れるのは必然とも言えます。しかし、このコンセプトは他に類を見ない独自性を持っているため、まずはブランドへの理解のあるデサントファンの方に履いていただきたいですね。次に、デサントのアパレルは知っているものの、まだシューズを試したことがない方にもぜひ体験してほしいと思っています。また、私たちのフットウェア事業はまだ規模が大きくないため、より多くの人に広めていきたいと考えています。特に、さまざまなシューズを履き比べてきた方や、新しいものが好きなファッショニスタ、スニーカーマニアの方々に手に取っていただき、その魅力を発信してもらえたら最高ですね。さらに、この誌面やウェブを通じて知っていただいた小売店の皆さんにも、ぜひデサントのフットウェアを実際に履いて、その実力を体感してもらえたら嬉しいです。

–––主な展開店舗を教えてください
主には旗艦店のDESCENTE TOKYOをはじめとする直営店舗になります。モジュラライズFKとモジュラライズV1は、ミタスニーカーさんとビリーズさんにも並びます。展示会で両店のバイヤーさんにとても興味を持っていただけたので、コアなスニーカーファンとの接点になりそうで楽しみです。

DESCENTE ALLTERRAIN
MODULARIZE V1
¥24,200
モジュラライズ V1は、アッパーに透湿防水設計を採用し、ミッドソールはソールの外側は固く、中は柔らかい構造が革新的なヴィブラムソールシステム。アウトソールにはヴィブラムと共同開発した薄くて軽いデサントオリジナルアウトソールを搭載し、アーバンシーンからアウトドアシーンまで長時間快適に過ごせる利便性の高い一足。
–––最後に読者へメッセージをお願いします
デサントといえばアパレルのイメージが強く、フットウェアの印象はまだほとんどないに等しいかもしれません。だからこそ、今回のようなインタビュー記事を通じて、できるだけ多くの情報を発信していきたいと考えています。そして、それをきっかけに少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。フットウェアとしては後発のブランドではありますが、だからといって他社に劣っているとはまったく思っていません。しっかりと機能性を備え、ご満足いただけるプロダクトを開発しているという自負があります。読者の皆さんに興味を持っていただき、実際に履いていただくことで、そこから寄せられる声が私たちの開発力をさらに高める大きな鍵になると考えています。ぜひ、一度試してみていただき、率直なご意見をいただけると嬉しいです。

DESCENTE
FUNCTIONAL FOOTWEAR
VERTHER Series
VERTHER CI
VERTHER RA
VERTHER CE 24.1
究極の機能を追求したデサント オルテラインのモジュラライズシリーズ以外にも、「テクニカルユーティリティ」、「テクニカル モード」をコンセプトに開発されたスニーカーシリーズ、ヴェルサーコレクションもある。シーズンやシーン、スタイルを問わず着用できるよう開発された透湿防水設計のユーティリティスニーカー。雨、風、雪などから身を守る“殻”のようなアウター、シェルジャケットの製造に用いる接着技術を応用し、デサントならではの接着方法を採用。靴内部の縫製や段差を極力なくしたルースレイヤーフィット構造で、防水性を保ちながら、柔らかく足を包み込む独自のフィット感を実現した人気シリーズ。2025年春夏コレクションでも、それぞれデザインの異なる3タイプがリリースされている。

DESCENTE
VERTHER Series
VERTHER CI
¥17,600

DESCENTE
VERTHER Series
VERTHER RA
¥22,000

DESCENTE
VERTHER Series
VERTHER CE 24.1
¥16,500
INFORMATION
デサントジャパン株式会社
お客様相談室(フリーダイヤル)
0120-46-0310
https://store.descente.co.jp/descente/