
Product Photo: Soma Doi(CLOCK)
Photo: Masataka Nakada(CLOCK)
Edit &Text : Shin Kawase
Mizuno's latest technology is
expressed in a new form
The perfect shoes MIZUNO “3D U-Fit”
昨年11月に発表され話題となったミズノのスリーディーユーフィットは、スポーツ業界初となる3Dプリンターで個人専用一体ソールを設計・製造するパーソナルフィッティングシューズ。これはまさに近未来の理想形シューズ。我々編集部は、ミズノ本社の隣にあるミズノエンジンを訪れ、このスリーディーユーフィットの企画、開発を担当した北 憲二郎氏を取材した。

MIZUNO ENGINE & MIZUNO HEAD OFFICE

MIZUNO ENGINE

MIZUNO “3D U-Fit”
About 3D U-Fit
Kenjiro Kita(Mizuno)
Interview
ミズノ株式会社
グローバル研究開発部
人間拡張研究開発課
参事
北 憲二郎
北 憲二郎
1959年、大阪府生まれ。大学時代は工学部で管理工学を学びながら、テニス同好会に所属し、テニスと麻雀に明け暮れる毎日を送る。卒業後は「自分の開発したテニスシューズを履いた選手が4大大会で優勝する」ことを夢見て1982年にミズノ入社。3年目にしてテニスシューズを任され、名テニスプレーヤーのイワン・レンドル選手のシューズ開発担当として彼の自宅(米国)にも訪問し、詳細要望も確認しながら専用シューズを設計開発。 その後、イワン選手が全豪オープンで優勝を飾り、入社7年にして夢を叶える。その後、MIZUNO WAVEなど、ミズノを代表する開発を担当。2024年、自分自身の42年の集大成として、定年直前にミズノエンジンにてスリーディーユーフィットを完成させる。2025年4月1日、執念ともいえる渾身の一足を世の中へ投じた。
–––スリーディーユーフィットを開発することになった動機を教えてください
入社して研究から生産までの全部を経験して、これから定年までの5年間、会社にどういう形で貢献しようかと考えた時、ひとつだけやり残したことがあったんです。30年位前になりますが、足に障害がある子供さんの靴を作ったことがありました。大変な苦労をしながら工場の職人さんと一緒に作った結果、“ええもん”ができて、親御さんもすごく喜んでくださったんですが、残念ながら個人のサイズに合わせて作る作業は大変な手間と時間が掛かるため、会社としてはもうやれない、と言われたんです。やりがいはあったけど、ビジネスとしては成立しなかった。そのことがずっと引っかかっていたんです。でも、30年経って、現在の技術であればもっとスマートにできて、一般の方でも手の届く価格でできるのではないか?と。定年前に、もう一度だけ花咲かせたいと強い衝動にかられ、始めたのがこのスリーディーユーフィットになります。

3D U-Fit
–––スリーディーユーフィットの特徴を教えてください
このシューズを作る前にまず、靴生産の根本的概念を変えようと思いました。今までの金型で一生懸命作ってきたやり方は環境に良くない。この作り方をゴロッと変えることで、何もかもが新しく、足にも環境にも良い理想のシューズができると考えたんです。3Dプリンターを使ったシューズは、他社にもたくさんありますが、ミッドソールの部分のみを成型するなどで、ソール全体を成型する対応まではできていないと認識しています。
クッションはあるけども耐久性がなかったり、アウトソールは金型で作ってあとは接着したり、というもの。スリーディーユーフィットは、個人の足を計測したデータを基に、このプリンターで全部一体にしたソールが出来るので、接着工程もいらない。中敷き(インソール)も必要なく、ソール全体が自分の足の形にフィットするのが最大の特徴です。アッパーはニット素材を採用し、靴自身がソックスのように一体にできているので、従来の靴とは違ったフィッティングになると考えています。



3D U-Fit
White × Type A
–––スリーディーユーフィットをどういう方に履いてもらいですか?
興味を持っていただいた方にはぜひ履いてほしいです。一般には平均的な足形のものしか売っていないので、痛くても我慢して履いている方々が多くいらっしゃいます。まずはそういう方々に履いていただきたいという気持ちが強いですね。
The perfect shoes MIZUNO “3D U-Fit”
Full LineUp 4 Stock Keeping Unit
スリーディーユーフィットは、大量生産ではなく、一人一人の足型を東京・御茶ノ水にあるMIZUNO TOKYOで計測して作る完全オーダーメイド(完成まで約2ヶ月)。ソールデザインはタイプA(カジュアルイメージ)と、タイプB(ランニングイメージ)があり、硬度も普通と軟らかめの2種類から選択可能。アッパーカラーはホワイトとブラックの2色展開となっている。

3D U-Fit
Type A

3D U-Fit
White × Type A
¥55,000



3D U-Fit
Black × Type A
¥55,000

3D U-Fit
Type B

3D U-Fit
Black × Type B
¥55,000



3D U-Fit
White × Type B
¥55,000
INFORMATION
ミズノお客様相談センター
0120-320-799
https://jpn.mizuno.com/

About MIZUNO ENGINE
2022年、ミズノ大阪本社敷地内に構想5年、総事業費約50億円をかけて建設されたイノベーションセンター、ミズノエンジン(左側)。右側奥の高層ビルが1992年に建設されたミズノの大阪本社。ミズノエンジンは、商品開発プロセスにおける「はかる」「つくる」「ためす」のすべてを実践でき、研究開発力を強化し、スポーツによる社会イノベーション創出を加速させるための施設。社員全員がフリーアドレスで一部は社外パートナーも入場できるオープンな空間になっており、名前の 「エンジン」には「成長の原動力」という意味に加え、チームワークの象徴である 「円陣」の意味もあるそうだ。ここには高い熱量を持ったスタッフと関係者が集まり、日々「円陣」を組んでいる。
https://jpn.mizuno.com/