Photo : Masataka Nakada (STUH)
Interviewer & Edit & Text : Shin Kawase
Product Text : Hirohito Iso
Urban lifestyle shoes proposed
by an outdoor brand
Columbia 2023 FW
Footwear Selection Part2
米国オレゴン州ポートランドで誕生し、85年に渡って培われたノウハウから生み出される高品質なコロンビアのアウトドアウェアは、世代を超えて世界中で愛されている。弊誌では昨シーズン、そのフットウェアを初めて特集した。そして今、編集部が注目しているのは、東京で企画されているコロンビアのライフスタイルシューズ。最新の秋冬コレクションを取材するため、再び都内のオフィスを訪れた。
Footwear of Columbia
Tomonori Araki / Keiko Kamohara
(Columbia Sportswear Japan)
Interview
新木知範・蒲原慶子 / フットウェア マーチャンダイザー
春夏コレクションを振り返って
–––春夏コレクションのメインモデル、イーストサイドトレーナーが好セールスだったそうですね
新木 はい、直営店舗とEコマースともに発売後すぐに欠品が出るなど好スタートでした。ですが、すぐに売り切れたカラーもあって古くからのコロンビアファンのお客様に行き渡らない事態にもなってしまって…。我々の予想をはるかに越えるほど好調でした。
EASTSIDE TRAINER™
–––そうだったんですね。好セールスになった要因は何だったと思いますか?
新木 7色のカラーバリエーションでしょうか。それぞれのカラーに背景を持たせるカラーストーリーの手法は、コロンビアの他のコレクションでも採用していますが、イーストサイドトレーナーでもその効果が出ました。商品に背景を持たせることは、お買い上げいただく方への説得力が増しますし、結構な比率で、2色、3色とまとめ買いされるお客様がいたり、元々差し色としてラインナップさせたマウンテンカラーの売り上げがベーシックカラーより良かったりと、面白い状況が起こりました。そして、結果的には全色がバランス良く売れました。また、イーストサイドトレーナーを春夏の軸に置くことで、戦略や店頭演出のVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)においてもインパクトを付けられ、マーケティングも効果的だったと思います。
EASTSIDE TRAINER™ (7color)
蒲原 色展開で補足しますと、カラーストーリーはシューズに特別感が出るんです。「日本発信、東京発信」というコンセプトに加え、商品名にある「イーストサイド」は、欧米から見ると極東に位置する日本という意味と、その日本においては日が昇る方角であり、その先に富士山という象徴的な存在があります。ストーリーがあると単純な説明書だけではない新たなコミュニケーションが生まれ、それが購入動機にもなり得るんです。ショップスタッフにとっても提案の引き出しが増え、お客様との距離を近づけるきっかけになったのではないでしょうか。複数カラーをお買い上げになるお客様は、一度に購入される方もいれば、まず一足を試してから次を検討される方も多くいたようです。機能性を体感されたうえで、2足目以降のカラーバリエーションをお楽しみいただいているのではないかと思います。
–––セールスが良かった要因として、コロンビアファンだけじゃなくて、色々な方も買われたと?
新木 やはりコロンビアファンが多いと思います。イーストサイドトレーナーは、街履きしたくなるようなデザイン性もあるので、目新しく映ったんじゃないですかね。だからリピーターの方も多かった。ファンの方以外では、シューズ・マスターの特集など、メディアを通じてその存在を初めて知ってくれた方も増えた気がします。
–––スニーカーファンは、コロンビアに何を求めていると思いますか?
新木 コロンビアは、知名度はあると思いますがやはりウェアがメインと捉えられているため、シューズに関しての知名度はまだまだ低いと考え、現在もその課題に取り組んでいます。特にスニーカー好きの方々はアウトドアブランドとしての機能性に期待していると思いますので、機能性とスタイルの融合がキーとなります。それを今後も強化していくつもりです。
–––あえてフットウェアブランドのコンペティターを挙げるとすると?
新木 ビッグブランドはたくさんありますが、コロンビアはまだ同じステージとは言えないので、比較することは難しいですね。ただ、コロンビア内で大変意義深い状況が生まれました。元々あったライフスタイル向けのホーソンコレクションの防水シューズ、ホーソンレインの「防水」と、イーストサイドトレーナーの「はっ水」という機能を別で走らせることで、社内外に変化をもたらしたんです。まず、お客様にとっては新たな選択肢になり、そこにもニーズがあったこと。オーダー数にも現れましたし、新たなコレクションとしてエントリーすることになりました。「はっ水」に対する社内の意識を変えられたことは大きかったですね。
蒲原 コロンビアの社内では、防水に比べて「はっ水」の技術は、必要なテクノロジーとして認識されない状況がありました。ただ「はっ水」は一般的にそのニーズとともに独立しているカテゴリーですし、ついついグレード重視で「防水」一辺倒になっていたコロンビアの課題を一気に解決できました。
秋冬コレクションについて
–––秋冬コレクションのメインモデル、ヘイジージャーニー ウォータープルーフについて教えてください
蒲原 ヘイジージャーニーは、テクノロジーを兼ね備えていながらも、見た目はアウトドアを感じさせる、日常生活にも溶け込みやすいデザインのスニーカーです。アウトドアブランドは冬には強いのですが、秋に弱いことがずっと課題だったので、秋に勝負したいという思いからレザーを採用した秋モデルです。
–––ヘイジージャーニーの特徴を教えてください
蒲原 まずひとつはルックスです。アッパーにオーセンティックなレザーを採用したレザーならではの風合いで、新しさというより懐かしさを感じていただけるのではないでしょうか。
HAZY JOURNEY™ WATERPROOF
新木 コロナ禍でリリースしたヘイジーレイジーが原型となったモデルです。コロナを経て皆がやっとアクティブになった今、ネーミングをレイジー(のんびり)から、再び動き出すっていう意味を込めて、ジャーニー(旅行)に変えました。革の柔らかさやミッドソールの硬さなど軽やかに動き出せるよう、素材と機能性にもこだわっています。
蒲原 ソールはヘイジーレイジーと同じですが、アクティブなシーンで履くイメージで足当たりの良い素材選びには気を使いました。
–––ソールの特徴を教えていただけますか。
蒲原 ミッドソールにEVAを採用しまして、重厚な見た目ですが実際はすごく軽いです。アウトソールのラバーとのコンビネーションで、フレックスポイントがしっかり備わった屈曲しやすい設計になっています。ただ、遠距離を歩く想定にはなってないのでソールは少し硬めです。
–––どんな場所で履くのがベストでしょうか?
蒲原 カテゴリーは絞らずちょっとした旅行や、ライトアウトドアでの使い方もできるスニーカーとして履いてもらえればベストですね。
新木 ライトハイク、フィッシング、山道を歩くフジロックなど、野外の音楽フェスで履くことをイメージしています。カラーバリエーションも5カラーあるので、ゴープコアのようにアウトドアを組み合わせた街履きのスタイリングにもお勧めです。
HAZY JOURNEY™ WATERPROOF
–––どんな人に履いて欲しいですか?
新木 コロンビアの中では新しいコレクションなので、これまでのファンの方にもアウトドアに興味のない方やコロンビアを知らなかった方にも、履くきっかけになればと思います。街履きにもフィットする春夏のイーストサイドトレーナーとアウトドアをメインにした今回のヘイジージャーニーで、アウトドア周辺のアクティビティーまでしっかり網羅できるフットウェアラインになりました。
–––販売店舗を教えてください
新木 Eコマースはもちろんですが、全国の直営店55店舗すべてに入荷する予定です。細かくいろいろなお店に並ぶことになりますし、直営店限定カラーもリリースされます。
蒲原 お店の近くにお越しの際にはご来店いただき、是非とも足入れや軽さを体感していただければと思います。
HAZY JOURNEY™ WATERPROOF(limited color)
–––秋冬コレクションでチャドウィックの新作もあるそうですね
蒲原 はい。コロンビアと言えばチャドウィックと言うくらい定番で、長くファンに愛され続けているモデルがチャドウィックです。元々はアッパーが手編みのニットでクレープソールという仕様でしたが、アップデートを重ねて、昨年の秋冬から厚みのあるミッドソールにしてクッション性を向上させ、モデル名もチャドウィックカフェにしました。文字通りカフェに行くようなリラックス感やお洒落さがあり、ファッション性のある仕上がりになっています。
CHADWICK CAFÉ BISHU
蒲原 また、秋冬コレクションでは、ファブリック素材に愛知県一宮市を中心としたエリアで作られた「尾州(びしゅう)ウール」を使用しています。また、生産地の愛知県一宮市には回収ボックスが至る所にあって、素材をリユースする文化が根付いているんです。チャドウィックカフェも回収されれば分解され糸となり、循環する仕組みの一端を担っています。
尾州ウールを生産している愛知県一宮市の工場
写真提供:コロンビアスポーツウェアジャパン
–––最後のモデルを紹介してください
蒲原 コロンビアの中でも秋冬の主力商品で、ここ数年で売上規模が大きく伸びている雪国での人気モデル、サップランドになります。濡れた氷でも滑りづらいヴィブラムのアークティックグリップをソールに採用していることが大きな特徴です。
蒲原 滑りづらさを実感してもらうため、店頭でも実際に氷を使ってグリップを体験できるようにしています。そしてこの秋冬からついにサップランドのローカットバージョンをスタートさせます。
SAPLAND II LO WATERPROOF
蒲原 サップランドは今までハイカットしかなく、ハイカットまでは必要ない環境、屋内や車などでも履きたいという声が多くありました。今回のローカットは、ハイカットで装備されていたコロンビアの熱反射テクノロジー「オムニヒートインフィニティ」をあえて外しました。なので秋口の早い時期から街履きとしても履けるようにアレンジしてあります。
–––販売エリアを教えてください
蒲原 北海道をメインに、東北エリアの降雪地域にも拡大します。北海道は、転倒率が最も高いと言われる12月が大変盛況で、コロンビアのショップでは朝から大行列ができるほど、サップランドの発売が冬の風物詩みたいになっているんです。特徴として、毎年買い替えているリピーターの方がほとんどのようで、北海道の売れ行きがすご過ぎて、全国に行き渡らない事態も発生してしまっています。毎年、在庫は確保しているのですが追い付かず、今年も北海道以外の皆さんには買いづらさがあるかもしれません。
–––最後に読者、スニーカーファンにメッセージをお願いします
新木 コロンビアには「全ての人々にアウトドアを開放する」という理念がありまして、ヘイジージャーニーはアウトドアと接点を持つきっかけとなるコレクションだと思っています。アウトドアに対して興味をお持ちの方にはぜひ選択肢に入れていただきたいです。街履きもできるデザインなので損はさせませんので(笑)。
蒲原 昨シーズンはまだコロナ禍にも配慮したプロダクト設計でしたが、この秋冬はもうアクティブがトレンドです。シューズの良さがより実感できるような設計になっていますので、アウトドアや旅行など、ヘイジージャーニーと共に楽しんでいただけたらと思います。
Columbia 2023 FW
Footwear Selection
HAZY JOURNEY™ WATERPROOF
Columbia 2023 F/W
Footwear Selection
HAZY JOURNEY™ WATERPROOF
Oxford Tan
¥15,400
オーセンティックレザーを使用した高級感のあるルックスに高い防水性を兼ね備え、突然の雨やぬかるんだフィールドなどタフな環境にも対応できるアウトドアスペックのアクティブスニーカー。絶妙なEVA配合のミッドソールで、長時間の使用時でも高いクッション性と快適性が持続。トーナルのカラーリングで、アウトドアからタウンユースまであらゆるシーンに適した一足。
HAZY JOURNEY™ WATERPROOF
(4 other colors)
HAZY JOURNEY™ WATERPROOF
(limited color)
Columbia 2023 F/W
Footwear Selection
HAZY JOURNEY™ WATERPROOF (limited color)
Chalk
¥15,400
今季のヘイジージャーニーウォータープルーフは、直営店&EC限定モデルとして3カラーがラインナップ。90年代後期から2000年代初期に展開されていた“コロンビア“のアパレルや、バガブーツで実際によく使われていたカラーリングに着想を得てデザイン。履いた瞬間からフィットするやわらかさや屈曲性の高いソールなど仕様は同じながら、大胆なカラーパターンを採用することでまた違った印象に。カジュアルだけど機能的な、思わずヘビーユースしたくなるアイテムが完成した。
HAZY JOURNEY™ WATERPROOF (limited color)
2 other colors
CHADWICK CAFÉ BISHU
Columbia 2023 F/W
Footwear Selection
CHADWICK CAFÉ BISHU
Clematis Blue
¥12,100
コロンビアの人気シリーズとして愛されるチャドウィックに、世界的にも有名な毛織物の産地である、愛知県一宮市を中心としたエリアで作られた上質な「尾州ウール」をアッパーに使用した、温もりのあるデザインのスライドシューズ。ミッドソールには軽量でクッション性のあるEVA素材を採用し、快適な歩行もしっかり提供。さっと履ける気軽さなので、アウトドアはもちろんデイリーユースにもオススメ。
CHADWICK CAFÉ BISHU
Black, Stone Green
SAPLAND II LO WATERPROOF
Columbia 2023 F/W
Footwear Selection
SAPLAND II LO WATERPROOF
Black
¥17,600
ウインターブーツとして人気のサップランドシリーズに、待望のスニーカータイプが登場。今作では、アッパーに軽量でカジュアルなナイロン素材を使用して軽快さを演出し、同シリーズ最大の特徴であるアウトソールには、ヴィブラム・アークティックグリップを採用して、積雪や凍結のある厳しい状況下でも優れたグリップ力を発揮。また、防水仕様にすることで雨天時でも安心して履けるなど、シンプルなデザインに確かな機能性を完備した、汎用性の高い一足に仕上がった。
SAPLAND II LO WATERPROOF
(3other colors)
About Columbia
1938年、アメリカ・オレゴン州ポートランドで誕生したアウトドアブランド。同州を流れるコロンビアリバーが社名の由来となっている。ブランド生みの親であるガート・ボイルのセリフ「It’s perfect. Now make it better」をモットーに、アウトドアを快適に過ごす多くの自社テクノロジーを開発し、シューズやアパレルなど様々なアイテムを展開しながら進化を続けている。
INFORMATION
コロンビアスポーツウェアジャパン
0120-193-803
www.columbiasports.co.jp/