Photo : Kazumasa Takeuchi(STUH)
Edit & Text : Shin Kawase
About SALOMON SPORTSTYLE
Hidefumi Hommyo (atmos President)
Interview
ライフスタイルでの存在感が年々高まるサロモンをアトモスで展開することが決まったそうだ。その一報を聞いた時、サロモンのトレイルランニングシューズをアトモスで?と正直少し驚いた。アトモススタッフに問い合わせると、アトモス代表の本明秀文氏が自らの強い希望で取扱いを決めたらしい。その真相を聞くために直接本人を取材した。(インタビュー取材:2021年1月)
Hidefumi Hommyo (atmos President)
本明秀文 / アトモス代表
–––まず、サロモンブランドを最初に知ったのはいつ頃ですか?
大学生の頃、スキーブームだったんでその頃から知っていました。でも今みたいな感じではなく、スキーブランドのイメージしかなかったですけどね。それで、実際には3年ぐらい前に「お、靴やってんじゃん」って見て知りました。
–––どこで見たのですか?
ヨーロッパじゃなかったのは確か。多分、アメリカのセレクトショップだったと。ナイキのオクワンっぽくていいなと思いました。ああいった細長い靴って今はなくなったんで、珍しいし格好いいなと。なんか昔のいいシルエットですよね。プーマのバナナっていうランニングシューズみたいにシュっとした感じで。いや、本当に格好いいなと思ったんです。
–––サロモンとのお付き合いは?
まったくお付き合いがなかったので、一度は僕たちから問い合わせして。でもうまく繋がらなかった。それでサロモンスタッフをよく知る人を介して、僕から会いたいと伝えました。そしたら向こう側からも「会いたかったんです」って言われて(笑)。
–––そうだったんですね。アトモススタッフの反応はどうでしたか?
興味を持っていたのは僕だけでしたね(苦笑)。完全に僕だけが「これだっ!」って思っていたようで。僕、新しもん好きじゃないですか。ホカ オネオネの時も「こんなシューズ売れますか?」ってスタッフに反対されたし。最近だとスイスのブランド オンもそうだし、僕は新しもん好きなんで、一般的に有名じゃなくても格好いい物にすげえ興味があるんですよ。新しい靴を見て格好いい!と感じたらすぐにアクションを起こしますね。
–––サロモンに魅力を感じでいるのはどんなところですか?
それはテックにつきますね。テックにともなったシルエット。単純に物がいいし、格好いいじゃないですか。それもテクノロジーっていう理にかなった機能美があって、カチッとしているところですね。
SALOMON SPORTSTYLE(2021)
SPEEDCROSS 3
SALOMON SPORTSTYLE(2021)
XT-6
フランスのブランドというのもあるけど、フランスで開催されるUTMBっていうトレランの世界最高峰のレースで2008年に優勝してから(サロモン契約選手が)、出場ランナーのサロモン着用率が高い。その位メジャーなトレランシューズであることと、サロモンのアパレルにも非常に興味があります。アパレルもテッキーじゃないですか。僕は本当にあのテッキーさをうまく街に落としてもらいたいなっていうのがあるんです。
–––アパレルのポテンシャルも高い?
第2のノース・フェイスになり得るポテンシャルがあると思うんですよ。中国で売れる可能性あんじゃないかなって思っています。
–––サロモンの親会社って中国のアンタスポーツですよね
はい。中国でめちゃくちゃでかいアンタスポーツがやっていることにも魅力を感じますね、フィラも持っているし、アークテリクスもある。今の経済状況を見ていると、中国発信のカルチャーが近い将来に来るんじゃないかと思っているんです。為替も今、中国元が高くてアメリカドルが安い。そういう中国元高で、中国に近い国の韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシアとか、周りの国の通貨が今、めちゃくちゃ上がってますよね。そうなってくると経済的には中国人が居ないともう世界中が回んない。アンタスポーツの社長って50歳ぐらいで僕と同じぐらいなんですよ。社長としては若いから、今本当に勢いがあって、色々な会社をどんどん買収しています。日本の高度経済成長期みたいなのが今の中国だと思うんですよ。例えば、ノース・フェイスもそうじゃないですか。ノース・フェイスって本当は山登り用だけど、今はもうタウンユース用にもなってますよね。サロモンも、トレランのメーカーとして始まると思うけど、将来的にはテッキーなアパレルラインをどんどんカジュアル化していくと、伸びしろがあるブランドで面白いなって思うんです。本当に今はテッキーな物とカジュアルの境目がすごく難しいというか、ないと言っていい。だから、そういった意味でサロモンは伸びしろがある魅力的なブランドだなと思っています。
–––スニーカーとしての可能性も?
もちろんです。今はヨーロッパテイストじゃないですか。それをどういう風にアジアテイストにしていくのか?アメリカテイストにしていくのか?そのやり方次第でものすごく伸びしろがあると思います。スニーカー業界に居て思うのが、今まではアメリカというひとつの軸があった。その中心にナイキがあるんですけど、それがちょっとずつシフトしていますよね。世界経済と同じで全部アジア寄りになっている。でも、中国は単一。中国だけ別でその他のアジアみたいな。だから、ヨーロッパ、アメリカ、中国、他のアジアみたいになっている。そう言った意味で中国が本拠地のサロモンに注目しているし、中国風にアレンジしてテコ入れするサロモンに非常に興味があります。これからは、色々なブランドが中国から世界に出てくる感じになって行くから。
–––アトモスと共に何かできればという期待感も?
はい。できれば面白いなぁと。ホカ オネオネも山用の靴があるじゃないですか。本格的なトレランもあるし、ランニングもある。それでいながら、普段履きにもできるランニングシューズもあるみたいな。僕、山行くときにホカ オネオネのブーツを履くんですよ。やっぱり履きやすいですもんね。何が履きやすいって、今までの常識からすると、山登りの靴ってガッチリしてて重たいでしょう。でも、ホカ オネオネのブーツはめちゃくちゃ軽い。だから、谷川岳行った時もそれを履いて行きました。そういった意味ではサロモンは、トレランシューズのカテゴリーキラーだと思うんですけど、そうじゃないところにまで商品の幅を増やしていかないと、カテゴリーキラーで終わっちゃうと思うんです。それは本当にもったいないので、もっともっと靴のバリエーションを増やして色々なシルエットの靴を出してもらいたいと思います。
–––サロモンのコンペティターって言ったら?
僕はホカ オネオネかなと思いますね。
–––今、サロモンで所有してるサロモンの靴は何ですか。
XT-6の一番高いやつです。オールブラック。
SALOMON SPORTSTYLE (2021)
XT-6
BLACK / BLACK / PHANTOM
¥27,500(tax in)
–––なぜXT-6なんですか?
サロモンのスタッフに勧められたんです。これが一番、オーソドックスで一番履きやすいと。
–––実際、履きやすいですか?
履き心地いいです。全然ブレないです、安定しているっていうか。最初はヒール部分が浅いのでここがずれるかなと思ったんですけど。見た目は浅いけど、ブレない。本当に走る用に作ってあるんだなと感心してます。
–––重さはどうですか?
軽いですね。そんな馬鹿軽くはないけど、丁度いい感じというか。やっぱり街用ではなくて山用なんですよ。近所を散歩って言う感じではなくて、やっぱりトレイルランニングシューズですね。どっか里山とかに行く時に履くような靴だなって思いました。
–––本明さんは、XT-6をどこで履いているんですか?
やっぱり自宅の周りじゃなくて、お寺参りとか。僕、お寺参り好きなんですよ、寺とか神社とか。こんなにブームになる前から行って御朱印をもらっているんで10冊以上持ってますよ。
–––XT-6を履いてどこのお寺に行ったんですか?
奈良の長谷寺に行きました。奈良にはよく行きます、吉野には毎年、桜の季節に電車を乗り継いで1人で行ってるんです。吉野は大体、大阪から行って2時間ぐらいなんですよ。だから、朝6時ぐらいの電車で行って8時に着いて山に登ると、登って降りてくるのに大体6時間ぐらいかかる。それで、また戻ってきて京都に泊まるんです。
–––京都に泊まるんですか?
そうです。京都も大好きなんです。奈良の天香久山(あまのかぐやま)とか140メートルぐらいしかないですけど、そういった所に登ります。
–––ええ、そうなんですね
飛鳥寺とか橘寺とか、ああいうなんにもない観光客がほとんどいないような所をサロモンのXT-6を履いて歩いているんです。
–––本当に山やお寺巡り用のシューズがサロモンなんですね
だから都市で履く靴が欲しいですよね。その辺がこれからの課題なんじゃないかな思います。
–––そのサロモンをアトモスのお客さんにどうアプローチするんですか?
まず、都市の生活よりも最初は郊外で試してもらえればと思います。格好良くて履きやすいんで。今、ソロキャンプの人口も増えてるし、キャンプがすごく流行っているから。
–––「キャンプで履く靴」としてサロモンを勧める提案を?
はい。僕たちのお客さんには2種類のタイプがいるんです。1種類はスニーカーヘッズって呼ばれる人たちで、ナイキが大好きでディレクターの小島をすごい支持してくれるような人たち。もう1種類は、色々なスニーカーを試して履くスニーカーファンの人たち。例えば、ホカ オネオを履いたり、オンや新しいモデルのニューバランスを履いたり。そういったお客さんにサロモンを提案していきたいですね。サロモンは今の所トレランのカテゴリーキラーですけど、これからは一般層も幅広く取り込めれば普通に売れるようなブランドとしてのポテンシャルはある。なので、これからアトモスと一緒に取り組んでカテゴリーキラーから脱してくれればと思います。
SALOMON SPORTSTYLE
2021 SPRING / SUMMER
SPEEDCROSS 3 & XT-6
atmos SELLECTION
サロモンスポーツスタイルは、今までサロモンがリリースしてきたアウトドアシューズに新たなデザインワークを施し、高い機能はそのままに、素材やカラーリングをアップデートしたコレクション。アトモスでの販売が決まった、サロモンの代名詞であるスピードクロス3とXT-6を紹介する。
SPEEDCROSS 3
WHITE / WHITE / ALLOY
世界中の幅広いトレイルランナーから愛されているスピードクロス 3。特徴的なアウトソールに加え、ヒール部分のクッション性とシューズ全体の安定性はサロモンならではの高い技術の象徴。その機能美に魅せられたファッショニスタも多く、ファッションシーンでも注目度の高い人気モデル。19,800円(税込)
SPEEDCROSS 3
BLACK / BLACK / QUIET SHADE
SPEEDCROSS 3
VANILLA ICE / EVENING PRIMROSE / COPEN
XT-6
ARCTIC ICE / BLEACHED SAND / OPAL BLUE
2013年の発売以来、過酷な状況下での超長距離レースにおいて、数多くの世界トップアスリートから支持されているトレイルシューズのXT-6。クッション性、耐久性、ダウンヒルコントロールなどのトレイルに欠かせない機能を維持しながら、際立つカラーリングが特徴的なモデル。タウンユースとしても使いやすい素材にアップデートされ、スポーツスタイルにラインアップされている。27,500円(税込)
XT-6
WHITE / LUNAR ROCK / ICY MORN
XT-6
BLACK / BLACK / PHANTOM
XT-6
PURPLE HEATHER / WHITE / BLACK
取材協力:
atmos BLUE Omotesando
東京都渋谷区神宮前4-29-4 Barbizon78
03-6438-9445
https://www.atmos-tokyo.com/brands/salomon
INFORMATION
サロモン コールセンター
03-6631-0837
https://www.salomon.com