Text by Masahiro Minai
Special Thanks to Deckers Japan
トレイルレースの最高峰においても
その機能性の高さを見せつけたホカ オネオネ!
UTMB®はフランスの高級リゾート地として知られるシャモニーで行われる世界屈指のトレイルランニングイベント。「UTMB®が間違いなくトレイルレースの最高峰!」と断言するランナーも少なくない。そんなビッグイベントにおいてもホカ オネオネのシューズを着用したアスリートが大活躍。UTMB®のような大舞台でもその機能性の高さをアピールすることに成功したのである。
UTMB®の正式名称は「Ultra Trail Du Mont Blanc」。フランスのスキーリゾートとして有名なシャモニーを出発し、イタリア、スイスのアルプス山脈を一周してシャモニーに帰ってくるという3か国、18の自治体を股にかけた全長171kmの長距離トレイルレースで、今年で第15回を迎える。UTMB®は、数あるトレイルランニングレースの頂点に位置する100マイルレースの代表格であり、世界中のトレイルランナーの憧れの的となっている。同時期にCCC(101km)、TDS(119km)、PTL(290km)、OCC(56km)といった異なった距離のトレイルレースも開催され、この時期のシャモニーはスキーシーズンのピーク時に匹敵するほどの数多くの人で溢れる。
UTMB®が単なるトレイルレースに留まらないのは、インターネットや街頭の大型モニターでリアルタイムの情報を提供することで、スペクテータースポーツ(観戦型スポーツ)としても充分に楽しめる環境を作り出しているから。
それは同じくフランスで開催される世界屈指の自転車レースであるツール・ド・フランスを思い出させ、トップ選手を間近に見るために数多くの観衆がスマートフォン片手に沿道に押し寄せる。またトップ選手の動向だけでなく、家族、友人といった身近なランナーを応援するためにコースに集結する人たちも少なくない。
エンターテイメントという部分でもUTMB®は一日の長があり、男性MCと女性MCとのトークの掛け合い、観衆を盛り上げるパフォーマンスetc.によりスタートエリアは、一種異様なテンションとなる。“I LOVE ROCK’ROLL”や”WE WILL ROCK YOU”といった、誰もが知るノリのいい曲で盛り上がりが最高潮となったところで、MCが手拍子でランナーと観衆が一体となるべくリード。その直後に突如荘厳な雰囲気の曲が流れる。新大陸を発見したクリストファー・コロンブスの生涯を描いた1992年公開の映画「1492 コロンブス」の主題歌である、ヴァンゲリスの“CONQUEST OF PARADISE”である。この曲が大音量で流され、UTMB®に出場するランナー、観衆の両方のテンションがマックスに高揚したところでスタートの合図が。
トップ選手を先頭に2000人を超えるランナーが後に続く。後ろのほうのランナーは歩きながらUTMB®のスタート&ゴールゲートを背景に自撮りしているランナーもいるなど、真剣勝負の舞台でありながら、楽しみ方はそれぞれだと思ったが、すべてのランナーが46時間半という制限時間を目標にシャモニーの街を出発していったのである。ちなみにスタート時に流された“CONQUEST OF PARADISE”は、UTMB®のゴール時にも繰り返し流されており、このレースに参加したランナー、そしてこの時期にシャモニーの街に滞在していた観光客の記憶に確実に残っているはずだ。
スタート最前列には有力選手が集結。2008年、2009年、2011年のUTMB®で優勝し、トレイルランニングにおける絶対王者的な存在となっているキリアン・ジョルネ(スペイン#2)、2012年、2014年のUTMB®優勝者のフランソワ・デンヌ(フランス#4)、2013年と2015年の同大会優勝者であるグザビエ・テベナール(フランス#7)、昨年のUTMB®3位のティム・トレフソン(アメリカ#14)など、今大会はこれまでになく数多くの実力者が参戦したことでオールスターの様相を呈していた。
上位進出が期待されたTEAM HOKA ONE ONEのマグダネラ・ブーレ(アメリカ#19)。2008年の北京五輪女子マラソン競技にも出場するなど、オンロードの実績も豊富なベテランランナーだ。今回は女子の部で6位に入賞した。着用シューズはスピードゴート2
序盤からレースをリードしたのはTEAM HOKA ONE ONEのジム・ウォルムズレー(アメリカ#1)とフランソワ・デンヌ(フランス#4)。
ジムは67km地点の暗闇のなかもホカ オネオネのマファテ スピードを着用して快調に飛ばす。
80km地点クールマイヨールのエイドステーショントでシューズをマファテ スピードからスピードゴート2に変更するジム・ウォルムズレー(アメリカ#1)。
長丁場の大会だけに、レース途中のシューズ選択も重要なポイントとなる。
ホカ オネオネのスピードゴート2を履いて軽快に飛ばすジム・ウォルムズレー(アメリカ#1)。あらゆる路面に対応するシューズだが、砂利道のような固いサーフェスでも抜群のトラクション性能を発揮。
102kmのグラン・コル・フェレまでは先頭に立っていたジム・ウォルムズレー(アメリカ#1)だが、トップをフランソワ・デンネ(フランス#4)に譲ると、127km地点のシャンペのエイドステーションでは疲労困憊でしばらく横になって休み、3位に順位を下げる。UTMB®の過酷さを物語る写真。
エイドステーションで休息して復活したジム・ウォルムズレー(アメリカ#1)。途中7位まで下げた順位を上げるために再びペースアップ。このときの着用シューズはマファテ スピードだ。
泥だらけになったホカ オネオネのマファテ スピードが今年の大会の悪天候ぶりを象徴する。
TEAM HOKA ONE ONEで最高の成績を残したのは終始安定した走りを見せていたティム・トレフソン(アメリカ#14)。後半の追い上げに成功し、前年に続く3位に輝いた。シューズはマファテ スピード。
ゴール後のウイニングランで観衆の声援に応えるティム・トレフソン(アメリカ#14)。今回TEAM HOKA ONE ONEのメンバーが着ていたアパレルは“It’so cool!” 「カッコいい!」と、現地でも話題となっていた。
優勝は写真中央のフランソワ・デンヌ(フランス#4)、2位は写真左のキリアン・ジョルネ(スペイン#2)、昨年に引き続き3位にはTEAM HOKA ONE ONEのティム・トレフソン(アメリカ#14)が入った。
途中までレースをリードしたTEAM HOKA ONE ONEのジム・ウォルムズレー(アメリカ#1)は5位に。UTMB®開催時点でITRA(国際トレイルランニング協会)ポイントを最も多く獲得していた。
初めてのUTMB®参戦での優勝はならなかったが、彼の走りは観衆に大きなインパクトを与えた。次回参戦時はより上位に進出することが期待される。
ゴール後に2位のキリアン・ジョルネ(スペイン#2)と赤ワインで乾杯するTEAM HOKA ONE ONEのジム・ウォルムズレー(アメリカ#1)。
TEAM HOKA ONE ONEはUTMB®以外にCCCでもその存在感を強くアピール。CCCはそのイニシャル通りにイタリアのCourmayeur(クールマイユール)をスタートしてスイスのChampexを経由してフランスのChamonixでゴールするトレイルレース。ヘイデン・ホークス(アメリカ#3001)がホカ オネオネのスピードゴート2を履いて見事1位でゴール。ゴールエリアで星条旗を纏った姿が印象的だった。
CCCでは昨年のUTMB®優勝者のルドビック・ポムレ(フランス#3005)も3位に入賞。TEAM HOKA ONE ONEがベスト3のうち二つを占めた。
TEAM HOKA ONE ONEはUTMB®(171km)にてティム・トレフソン(アメリカ#14)が3位、ジム・ウォルムズレー(アメリカ#1)が5位、マグダネラ・ブーレ(アメリカ#19)が女子の部門6位に。CCC(101km)ではヘイデン・ホークス(アメリカ#3001)が優勝、3位にもルドビック・ポムレ(フランス#3005)が入るなど、これまでの大会以上にホカ オネオネの優秀性をアピールすることに成功していた。
そして今大会で最も着用されていた同ブランドのシューズがスピードゴート2。上記のTEAM HOKA ONE ONEのアスリートはもちろんのこと、一般参加のランナーの足元にもこのモデルを数多く見つけることができた。
ちなみに筆者がシャモニー中心部の川沿いの小道でゴールを目指す40人のUTMB®ランナーの着用シューズを調査した結果が下記の通り。制限時間にはまだ余裕のある日曜日の朝にゴールするランナーの足元となるが、ホカ オネオネは1位のサロモンに迫る2位となっており、現地の有力スポーツショップ「RAVANEL」のスタッフによると、昨年のUTMB®時と比較すると急速に売り上げを伸ばしているという。ホカ オネオネは昨年の10月にハワイ島のコナで行われたトライアスロンのアイアンマン世界選手権においてNo.1の着用率を記録したというが、トレイルレースの最高峰UTMB®においてもNo.1シェアを獲得する日は遠くないと思った。また写真でも紹介しているが、ランニングシーンだけでなくカジュアルシーンでも着用者が多いのも印象的で、しかもスタイリッシュに履きこなしている人が多かった。
1位…………………..サロモン 14人
2位…………….ホカ オネオネ 12人
3位……………ラ・スポルティバ 4人
4位………………..イノヴェイト 3人
5位……………………..アルトラ 2人
5位…………………..アシックス 2人
7位……….ザ・ノース・フェイス 1人
7位…………………….カレンジ 1人
7位……………………..スコット 1人
南井正弘(ランナーズパルス編集長)
INFORMATION
HOKA ONE ONE
www.hokaoneone.jp