Photo : Masataka Nakada
Edit & Text : Issey Enomoto

Salomon HQ in Annecy, France
サロモンの真価と進化
フランス・アヌシー本社レポート

あなたはサロモンのことをどれほど知っているだろうか? スニーカーシーンで急速に存在感を高めつつあるこのブランドの真価と進化を探るべく、フランス・アヌシーの本社を訪ねた。

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優れた機能を持つサロモンの製品群は、
この美しい街から生まれる。

近年、スニーカーシーンで急速に存在感を高めつつあるサロモン。しかし、その真の姿はあまり知られていない。今回、フランス・アヌシーの本社を訪れたのは、ブランドのルーツをたどり、ものづくりの姿勢やデザイン哲学をあらためて探るためだ。

フランス南東部のアルプスの麓の街、アヌシー。夏は避暑地、冬はスキーリゾートとして賑わうこの街は、サロモンにとって創業の地であり、現在も本社機能や開発拠点を置くブランドの中枢部だ。

アヌシーの自然豊かな地に建つサロモン本社。アウトドア、ランニング、スキーなどあらゆる分野の製品開発が行われる。敷地内には最新アイテムが購入できるストアも併設。

本社内に設けられたプロトセンター。ここであらゆる製品のサンプル製作を行う。スタッフのアイデアやアスリートの要望をすぐにかたちにでき、開発サイクルのスピードアップが可能に。

本社内の『サロモンカフェ』。スタッフの憩いの場であるとともに、打ち合わせの場としても利用される。

サロモンの創業は1947年。その歴史はアヌシーのダウンタウンに開業した小さなスキーエッジ研磨工場から始まった。後に革新的なビンディングやスキーブーツの開発によってウインタースポーツ用品のトップメーカーに登り詰め、2000年代に入るとハイキングやトレイルランニングの分野に進出。スキー用具で培った技術を応用して開発した高機能シューズを次々に世に送り出し、数々のトップアスリートの活躍を足元からサポートしてきた。

近年はスキーやトレイルランニングのほか、ロードランニング、ウォータースポーツといったアクティビティのみならず、ファッションやライフスタイル分野でも高い人気を得ているのは周知のとおりだ。

トップアスリート向けのノルディックスキーブーツ。サロモンのルーツはスキー用具にあり、そのフィロソフィーはトレイルランニングシューズやスポーツスタイルシューズにも継承されている。

サロモンがサポートするトレイルランナー、フランソワ・デンヌが2021年のUTMBで4度目の優勝を果たした際に着用したシューズ。サロモンは数多くのアスリートの活躍を足元から支えてきた。

左から「XT-WINGS」、「XT-4」、「XT-6」。いずれも高機能なトレイルランニングシューズとして誕生し、現在ではサロモン スポーツスタイルのなかでも屈指の人気モデルとしてストリートで支持されている。

近年は人気ブランドやショップとのコラボレーションも積極的に展開。左から、KAR×サロモン「ACS PRO」、パレス×サロモン「XT-6」、ザ・ブロークン・アーム×サロモン「X-DESALPES」、MM6×サロモン「Cross Low」。

スキー用具の開発からスタートし、トレイルランニングをはじめとするアウトドアを主戦場としてきたサロモンが、いまなぜスニーカーシーンで支持されているのか。その理由を解くカギは、このアヌシーという土地にある。

創業の地であり現在も開発拠点を置くアヌシーは、世界屈指の透明度を誇るアヌシー湖の湖畔にあり、ヨーロッパアルプスからほど近い自然豊かな街。近郊にはスキー場が豊富にあり、登山やトレイルランニングを楽しむフィールドも無限に広がる。世界最高峰のトレイルランニングレース「UTMB Mont-Blanc」が開催されるシャモニーもクルマで1時間半ほどの場所だ。

本社からほど近い山でトレイルランニングを楽しむサロモンのスタッフたち。周囲には山々がそびえ、眼下には美しいアヌシー湖が。サロモンの製品群はこの自然豊かな環境から生まれているのだ。

そういった豊かな自然を通して研ぎ澄まされた美的感覚と、フィールドでの実地検証を繰り返すことで磨かれてきた機能性の高さ。それらが一体となって浮かび上がったブランド像が、いまの時代の価値観や空気感にマッチしたことで、サロモンは一躍注目を浴びるようになったのではないか。

スニーカーカルチャーは成熟の域に達した。うわべだけのマーケティングやプロモーションはもはや通用せず、話題づくりのためだけのコラボレーションでは見向きもされない。その点、サロモンには、アウトドアで培われた美学と哲学がバックボーンにあり、たしかな機能に裏打ちされたストーリーがある。そしてなにより、そのプロダクトにはモノとしての本質が詰まっている。だからこそ、多くの人を魅了するのだ。

※本記事は、『SHOES MASTER』Vol.42(2024年9月30日発行)の
特集記事を再編集したものです。

INFORMATION
サロモン コールセンター
03-6825-2134
https://salomon.jp/

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