Photo: Soma Doi(STUH)
Edit&Text: Shin Kawase
Cooperation: PUMA Japan K.K.

PUMA×ABC-MART GRAND STAGE
SPECIAL MODEL
“PUMA SUEDE VTG MIJ HC GS”

プーマが誇る最高峰モデル“MIJ”(MADE IN JAPAN)。その匠の技を駆使したスリップストリームやスウェード ヴィンテージなどが発表され、スニーカーファンの注目を集めている“MIJ”シリーズ。他を圧倒するスケールでワン&オンリーの存在感を放つエービーシー・マート グランドステージとMIJの共作が編集部に届いた。プーマ ジャパン協力のもと、3人のキーマンに話を聞いた。

このエントリーをはてなブックマークに追加

Masahide Terada (ABC-MART GRAND STAGE)
Hitoshi Yoshitani (PUMA Japan K.K. / SALES)
Heisuke Nozaki (PUMA Japan K.K. / MARKETING)

Masahide Terada (ABC-MART GRAND STAGE)
寺田勝英 / エービーシー・マート 商品部

Hitoshi Yoshitani (PUMA Japan K.K. / SALES)
吉谷 仁志 / プーマ ジャパン セールス

Heisuke Nozaki (PUMA Japan K.K. / MARKETING)
野崎 兵輔 / プーマ ジャパン マーケティング

PUMA×ABC-MART GRAND STAGE
“PUMA SUEDE VTG MIJ HC GS”

–––この企画が持ち上がった経緯を教えてください
寺田 昨年の6月位に、エービーシー・マート グランドステージとしてスペシャルなモデルを作りたいと思い、プーマさんのMIJでスウェードがいいなと思って、プーマジャパンの営業担当の吉谷さんに相談したんです。

–––吉谷さんはエービーシー・マートさんの営業担当ですよね?
吉谷 はい。7年位担当させてもらっています。元々はプーマでMD(商品企画)をやっていたこともあって、今までにも何足もコラボレーションしてきました。今回の企画に関しては、寺田さんだけでなく、私も日本製のMIJのスウェードで考えていましたのですぐに決まりましたね。

–––過去にもグランドステージで2モデルコラボレーションされていますよね?
吉谷 そうです。ラルフ サンプソンのアニマル柄と、その後にマルチカラーのスウェードをリリースしていますので、今回は3作目になります。

ABC-MART GRAND STAGE × PUMA MIJ Collaboration Model
PUMA RALPH SAMPSON LO MIJ (October 2020)

ABC-MART GRAND STAGE × PUMA MIJ Collaboration Model
PUMA SUEDE VTG MIJ MC (March 2021)

Photo : Masataka Nakada (STUH) , Photo courtesy : ABC-MART GRAND STAGE

–––プーマはアーカイブが沢山あって選択肢は色々あったと思うのですが
寺田 2021年1月にMIJが復活したじゃないですか。ちょうど今、吉谷さんが履いていますけど。復活してからセールス的にも好調で、日本製は我々としてもすごくリスペクトしていますし、今まで2回取り組みさせていただいた流れもあるので、今回の企画もMIJがいいなと。MIJであれば、スウェードが一番適していると考えたんです。グランドステージのお客さまって、コアなスニーカーマニアの方もいらっしゃいますが、ある程度のスニーカーの知識もあって、こだわりもあるけれど、そこまでマニアックではないお客さまが多いと思います。そういった意味では、ちゃんと個性もありながら、色々な方に提案していけるモデルが良かった。となると、選択肢としてはプーマを代表するスウェードがベストだと思い選ばせてもらいました。

Hitoshi Yoshitani (PUMA Japan K.K. / SALES)

PUMA SUEDE VTG MIJ SILVER (January 2021)
Photo : Osamu Matsuo (STUH)

–––今回のスウェードは、サッカーのジョセフ・“ユップ”・ハインケスのシグネチャーモデルからのインスパイアだそうで
寺田 はい。今回のモデルで一番こだわったのが、この黄緑のカラーリングです。最初にグランドステージのイメージカラーであるグリーンをシューズで表現したかったんです。

–––すべてはそこから始まったのですね
寺田 柱はあくまでグリーン。いくつか配色を考えていく中でそこに背景、ストーリーをつけていきたいと思い吉谷さんに相談しました。
吉谷 寺田さんに相談されて、グランドステージの黄緑、薄いグリーンで、すぐ思い浮かんだのがサッカーのトレーニングシューズで1974年あたりに販売されていた“HEYNCKES COMET”(ハインケス コメット)でした。ドイツのサッカークラブ、ボルシア・メンヒェングラートバッハでプーマ契約選手として活躍したジョセフ・“ユップ”・ハインケスのシグネチャーモデル。もともと僕も大好きで、ずっと欲しいんですけど、ヴィンテージ市場でもなかなか手に入らない幻のシューズなんです。それですぐにマーケティング部の野崎に相談しました。そうしたら、当たり前のように個人で所有してたんです(笑)。グリーンとネイビーが絶妙なカラーリングの写真でしか見たことがなかったハインケス コメットを。あと社内の後輩も一足持っていて…。

PUMA HEYNCKES COMET OG (1974)

–––プーマ ジャパンスタッフの「プーマ愛」はすごいですね
野崎 自社ブランドに対してすごく愛情が強い人間がいまして…。昔のめずらしいヴィンテージモデルを見つけると、高いお金を出してでも自腹で買っているっていう(笑)。ハインケス コメットは、日本では未発売だったモデルで、デッドストックを数年前に古着屋さんで3万円ほどで購入しました。純粋にこの色合いとか、短いノーズのシルエットなどが好きで。ハインケス コメットはヴィンテージ市場でもほとんど出てこない珍しいシューズ。本当に趣味の世界で、ずっと生き続けてきたのが、このハインケス コメットだと思います。

–––そうなんですね。それを聞いて寺田さんは?
寺田 僕もサッカーをやっていたので、コンセプトとしては自分の中で非常にフィットしました。あと、復刻が今まで出てないっていう所も大きなポイントでした。靴としてもすごくレアですし、カラーリングのグリーンもイメージしていた色とぴったりだったので驚きました。OGモデルを個人的に所有していた野崎さんにはもっと驚きましたけど(笑)。
野崎 ハインケス コメットを持っていて本当に良かったです(笑)。今年、プーマのライフスタイルシューズのテーマがヨーロッパとアメリカの「クラシック&ヴィンテージ」なんです。アメリカのバスケットボール カルチャーを背景にして生まれたスウェードが、ヨーロッパから見たクラシックコート(フットボールトレーニング)のハインケス コメット カラーを纏ってリリースされる。これって、プーマの今春のライフスタイルシューズのテーマが1足のシューズで表現されたことを意味します。このコラボレーションモデルは豊富なプーマ アーカイブの中から発掘されて、ひとつの作品になったような感じで運命的なものを感じますね。今日、僕の足元はテラスコレクションのミュンスター OGで、寺田さんが履いているのはスウェード。打ち合わせも何もしてないんですけど。

Heisuke Nozaki (PUMA Japan K.K. / MARKETING)

Masahide Terada (ABC-MART GRAND STAGE)

–––それでスタートしたんですね。でも、このグリーンを出すのは大変だったのでは?
吉谷 はい。ただ綺麗なグリーンということだけじゃなく、ヴィンテージ感のあるグリーンを出すのが大変だったというか、こだわって妥協しなかった感じですね。野崎が所有していたハインケス コメットOGの現物があったので、この緑をどうしても表現したくて。約50年前の靴なので、元はもうちょっと濃いグリーンだったのかも知れないですけど、経年劣化で薄くなってきたスウェード素材の雰囲気を出したかった。なので濃いグリーンと薄いグリーンの2種類を作ってもらいました。日本の工場にはクラフトマンシップがあるので、現物があると躍起になって頑張ってくれたと思うんですね。この絶妙なグリーンを表現、再現できるのはMIJの成し得る技といえますね。

–––ソールに関しては?
吉谷 今回がスウェード ヴィンテージMIJなので、ソールもスウェード ヴィンテージと同じものを使っています。でも、この絶妙なグリーンに合うソールがなかなかなくて…。普通のスウェードだと白いソールになるでしょうけど、テラスコレクションのようなヨーロッパテイストを入れたくて、野崎が履いているミュンスター OGのガムソール(濃い色の)を試してみたけど合わなかったんです。そうしたら寺田さんから逆にもっと色と薄くしたらどうかと助言いただいて。ガムソールって普通はもうちょっと濃い色だけど、あえて薄くすることで今までにないテイストになって、見たことがないカラーリングになるからと。それから試行錯誤です。最終の仕上がりのイメージや雰囲気は、実際にアッパーとソールをくっつけてみないと、どう仕上がるかわからないので何度もテストを繰り返して、ようやくたどり着いた感じですね。

寺田 ガムソールの色が濃いとちょっとスポーツの印象が強くなるなと思ったので、あくまでグランドステージのお客さまに対してと考えると、よりカジュアルっていうよりも、よりスタイリッシュな感じ。あまり他にない印象でもありながら、ファッション的には合わせやすいナチュラルさという観点も必要だと思ったんです。もちろん忠実に当時の色を復刻してオリジナルに近づけるっていう目的もあるんですけど、シューズ単体のトータルバランスを考えた時に、いかに今のモデルとして格好良く見えるかを選択しました。最終的にグランドステージ風にアレンジさせてもらった感じですね。

–––今、ここに製品がありますけど、完成品に対する満足度は?
寺田 イメージ通りというか、最高の仕上がりだと思います。作りたい靴が本当に作れたので、自信を持って送り出せる一足になりました。

–––3作目ですが、改めてMIJに関して一言もらえますか?
寺田 もちろん、色とかデザイン、シルエットなどの見た目の美しさもありますけど、何よりMIJは履き心地がいい。自分としては、そこが一番気に入っているポイントなんです。

–––寺田さんも週末には店頭で一日中履いていますよね
寺田 そうなんです。もちろん最新テクノロジーを搭載したランニングシューズなどと比較するものではないですが、個人的には適度に硬いほうが意外と疲れなかったりするんです。自分的には店頭に立つ時に履くベストな靴。

–––MIJの良さは、履き心地が一番なんですね
寺田 そうですね。足に対しての考え方がすごくしっかりしているから、靴全体として足にすごくフィットするのがMIJ。MIJの価格にはそこが一番に反映されていると思うんです。MIJを知らない方から見たら単純に同じようなスウェードなのに、なんで価格が倍近く違うんだろう?って思われるかも知れませんが、一度足入れしてもらえると、その価格の差も納得してもらえると思うので、ぜひ一度足入れしてみてほしいですね。

–––それはよく履いているからこそ言えますね
寺田 はい。履いてみないとその良さはわからないので。

–––吉谷さん、一言お願いします
吉谷 僕も寺田さんと同じなんですけど、良質な革靴を履いたような履き心地、それがMIJです。なぜ、こういう履き心地になるかというのは、実は僕も分からないです。見た目の綺麗なシルエットにしても、ラスト(足型)もグローバルと同じなのに、なぜこんなに綺麗なんだっていうのがMIJの魅力だと思いますね。

–––野崎さん、去年からMIJが復活しました。改めてMIJの評価を実感されていらっしゃいますか
野崎 相変わらず支持されていて嬉しい限りですね。テラスコレクションじゃないですけど、プーマの持つクラシックなシルエットは、昔のプーマのオリジナルシューズと通ずるような、美しいシルエットなんです。吉谷も言ったように、グローバルで同じラスト(足型)を使って、このシルエットに仕上げるのはMIJの技術じゃないと出来ないものなので、本当に驚くべきことだと改めて思います。僕もMIJを言い表す時に「革靴のような履き心地」とよく言うんですけど、流れるようなシルエットで足入れしやすく、履き終わる時にプシュッていうぐらい、かかとの部分がフィットするスウェードは日本唯一と言えます。でも誤解のないように言うと、どちらがいい、悪いじゃないんですよ。グローバルで作っているのは、世界各国のどんな人にも合うように、ゆったり作ってあるので。

–––本国、ドイツスタッフのMIJの評価はどんな感じなんですか?
野崎 本社のドイツスタッフも一目置いている存在がMIJで、何かしらアニバーサリーがあるとMIJで作りたがりますね。なぜ日本製のスウェードは、こんなにシルエットが細くて綺麗なんだって聞かれたことがあるぐらいです。

PUMA×ABC-MART GRAND STAGE
“PUMA SUEDE VTG MIJ HC GS”

–––そうなんですね
野崎 実はMIJってシルエット細いんですけど、サイズ感としてはちょっと大きく感じるんですよ。自分のサイズのハーフサイズダウンで全然履けるくらい。なぜなら、ラスト(木型)の曲線に沿うように素直なつり込みをされているから。グローバルで共通のラスト(木型)を使っていますが、海外製は割とゆったり作られていて、MIJは木型に合わせてかかとの部分をきゅっと絞ってある。あと、カップインソールを入れてあるので全体的なバランスが良くて、世界では唯一無二のシルエットになっていると思います。

–––完成した今作をどんな人に履いてほしいですか?寺田さんからお願いします
寺田 プーマって他のブランドよりも熱狂的なコアファンが存在するブランドだと思うんです、プーママニアと呼ばれるような。もちろんそういう人にも響いてくれたら本望ですし、今までプーマを全然履いたことがない方にも履いて頂けたらいいですね。スニーカーが大好きだけど、ちょっと他の人と違ったものを履きたいって方に提案していきたいです。このMIJは、発売日に全部完売するかっていうと、そんなことないと思うんです。正直価格も高価ですし、誰しもが気軽に買う靴じゃないと思いますが、みんなが競って買うハイプなモデルとは一線を画したモデル。なので、ECでも売るんですけど、理想は実物を見てもらって、足入れしてもらってから、良さを分かって気に入ってもらった人に履いてもらいたいと思っています。

PUMA×ABC-MART GRAND STAGE
“PUMA SUEDE VTG MIJ HC GS” Attached shoelaces (green)

–––吉谷さんは?
吉谷 理想は、今のトレンドも入れながら、古着をどこかに取り入れている古着が好きな若い世代の方に履いてもらえたらうれしいです。このMIJは、新品ですけど、ヴィンテージのスニーカーを履いているような感覚で履いて頂けるように作っていますし、古着にも合わせやすいと思うので。

–––下北沢のヴィンテージショップ、SOMA(ソーマ)の徳永さんが、大学生が10万円位するヴィンテージのプーマ クライドを買って行くって言ってましたよ
吉谷 そうらしいですね。プーマ クライドはヴィンテージ市場で買うことができますけど、ハインケス コメットは希少で今はおそらく買えないと思うし、もし買えても相当高額になる。そういう意味でいうと、この値段でヴィンテージな雰囲気を持つのこれを買えるのは安いかもしれません。

–––ヴィンテージ物と違って気軽にガンガン履けますしね
吉谷 本当にそう思います。あとはやはり、スニーカーのことをよく知っている『SHOES MASTER』の読者の方に履いて頂けるとうれしいですね。MIJの生産背景を理解して、今作のストーリーを知った上で、実際に実物を見て、足入れしてもらって、その履き心地を体感してもらって。そのすべてに共感してくれた方に買ってもらえたら最高ですね。

–––最後に野崎さんお願いします
野崎 このMIJは、昔から古いスニーカーが好きで興味を持たれている方、ヴィンテージスニーカーが好きな方にまず買って頂ければうれしいですね。

–––野崎さんは、ハインケス コメットのデッドストックを所持しているので説得力がありますね
野崎 ハインケス コメットOGは所有していますけど、50年近くも時間が経ってしまっているので、履こうと思ったら、壊れてしまうんじゃないかっていう恐怖感もあるし、値段も高いので、雨が降ったら嫌だなとか、色々と気を遣うじゃないですか。

–––それは気を遣いますよ
野崎 だけど、このMIJは気を遣わずに履ける。なので、本当にヴィンテージのスニーカーを愛している方が気軽に履いていただけるシューズとして適しているかなって思っています。

PUMA HEYNCKES COMET OG (1974)

–––あと今回は特別にシューズボックスがプリントされたアパレルもありますね
野崎 ハインケス コメットがリリースされた1970年代はもちろん、1980年代、1990年代もあります。すべてプーマ ジャパンスタッフの私物なんです。特に多いのは僕と吉谷ですけど(笑)。

–––ここにプーマの歴史が詰まっていますね
野崎 そうですね。プーマのシューズボックスって年代によってかなりマイナーチェンジされていて、今の若い世代の方は、なかなか見る機会がないと思ったので集めて写真を撮ったんです。スニーカーが好きな方はシューズとシューズボックスを含めてひとつの商品というか、骨董品と同じですよね、パッケージまで含めて商品っていう。この写真をプリントしたTシャツ、ロンT、パーカをブラックとホワイトの2色展開で発売します。写真の下には、プーマの昔からの標語である「プーマは品質第一主義」というコピーが添えられています。

–––MIJのシューズボックスも一新されましたね
野崎 はい。海外から日本に来られた外国人の方に分かりやすく喜んでもらえればと思って、波型のいわゆる日本古来の刺し子みたいな柄が入っています。MIJは日本以外の国でも売るので、ヨーロッパ、アメリカ、アジアでも全部このシューズボックスに入れてグローバルで展開していきます。

 

PUMA×ABC-MART GRAND STAGE
“PUMA SUEDE VTG MIJ HC GS”

¥20,350

PUMA SHOES BOX S/S T-shirts
BLACK
¥4,290

PUMA SHOES BOX Long Sleeves T-shirts
BLACK
¥4,950

PUMA SHOES BOX Hoodie
BLACK
¥6,600

プーマとエービーシー・マート グランドステージのスペシャルコラボレーションモデルは、4月13日(水)からエービーシー・マート グランドステージのECサイトで先行発売され、4月15日(金)からエービーシー・マート グランドステージ一部店舗で店頭販売がスタートする。シューズボックスをプリントしたアパレルも同時に発売され、写真のブラック以外にもホワイトの2色展開となっている。

INFORMATION
ABC-MART GRAND STAGE
PUMA SUEDE VTG MIJ HC GS
https://gs.abc-mart.net/shop/g/g6266750001051/

PUMA SHOES BOX S/S T-shirts
https://gs.abc-mart.net/shop/g/g6269560001003/
0120-936-610

pagetop