Photo: Masataka Nakada(STUH)
Edit & Text : Shin Kawase
MIZUNO SPORTS STYLE
Model that symbolizes the WAVE RIDER series
“WAVE RIDER 10”
ミズノスポーツスタイルの2020年春夏コレクションから、ウエーブライダー10をベースモデルにしたコラボレーションモデルが発表される。ウエーブライダー10といえば、2007年のリリース時に好セールスを記録し、ランニングシューズ業界で話題となったウエーブライダーの名作。今回の特集では、その新作を紹介するとともにウエーブライダー10のルーツに迫ってみたい。
MIZUNO SPORTS STYLE
Model that symbolizes the WAVE RIDER series
“WAVE RIDER 10”
Collaboration Model
WAVE RIDER 10 WOODWOOD(April 4 Release)
WAVE RIDER 10 BEAMS(April 18 Release)
WAVE RIDER 10 WOODWOOD
デンマーク・コペンハーゲンのファッションブランド、“Wood Wood”(ウッドウッド)とのコラボレーションモデル。ウッドウッドは、ブライアン・SSジェンセンとカールオスカー・オルセンらが2002年に創立。彼らの育った90年代のユースカルチャーやグラフィティーアートに着想を得て、ハイファッションにストリートファッションやサブカルチャー、音楽やアートなどをブランド独自の美学でミックスしたスタイルを提案する人気ブランド。本モデルは、アッパーの補強部に2種類(牛革と豚革)のヌバックを7色使い分けながら、3色のメッシュ素材を使って統一感のある一足に仕上げられた力作。北欧ブランドらしいカラーリングセンスが秀逸でパフォーマンスランニングシューズをここまでエレガントな雰囲気に演出しているのはさすがの一言。※新型コロナウイルスの影響で各ショップによって販売状況が異なり、すでに完売している店舗もある。
Mode Name: WAVE RIDER 10 WOODWOOD
Color Name: BRN/BEG/WHT
Size Range: 26.5cm~29.0cm
Price:¥18,000+tax
SHOP LIST
DOVER STREET MARKET GINZA
mita sneakers
BEAMS JAPAN 3F
SNEAKERSNSTUFF TOKYO
MIZUNO TOKYO
MIZUNO OSAKA CHAYAMACHI
WAVE RIDER 10 BEAMS
ミズノグローバルプロジェクト“KAZOKU”メンバーであるビームスとのコラボレーションモデル。ビームスは、2018年のKAZOKUスタート時より、ミズノとパートナーシップを組んでいる間柄で2018年7月に行われたスニーカーシンポジウム、スニーカースピーカー(KAZOKU編)では特例でビームス ジャパンの店内を会場として提供したほど。そんな両社の今回のコラボレーションモデルのテーマは、ミリタリーライク。アッパーには強度のあるナイロン素材を採用し、履き口裏素材には存在感のある光沢糸が使用され、10種類以上の異なるベージュのパーツを組み合わせて構成。シューレースティップにロゴが入ったオリジナルシューレースは、丸紐タイプとオーバルタイプの2種類があって取り換え可能。オーバルタイプ用にはシューレースストッパーが付属している。※ビームス ジャパン京都のオープンを記念し、4月16日(木)から先行発売される予定になっていたが、新型コロナウイルスの影響で延期。5月21日(木)から、ビームスオンラインショップにて販売がスタートする。
Mode Name: WAVE RIDER 10 BEAMS
Color Name: BEG/ORN
Size Range: 25.5cm~29.0cm
Price:¥18,000+tax
SHOP LIST
mita sneakers(5/30発売)
MIZUNO TOKYO(5/30発売)
MIZUNO OSAKA CHAYAMACHI(5/30発売)
BEAMS JAPAN 3F(6/1発売)
BEAMS JAPAN SHIBUYA(6/1発売)
BEAMS JAPAN KYOTO(6/11発売)
MIZUNO SPORTS STYLE
Model that symbolizes the WAVE RIDER series
“WAVE RIDER 10 OG(2007)”
ミズノスポーツスタイルの2020年春夏コレクションから、ウエーブライダー10 OGが復刻される。ウエーブライダーといえば、ミズノグローバルプロジェクト“KAZOKU”の第1弾モデル(ミタスニーカーズ)として2018年2月に発売されると、即日完売し、その名を一躍知らしめた名シリーズ。そのシリーズの象徴とも言える存在がウエーブライダー10なのである。もっと詳しく知るために開発担当の佐藤夏樹氏を取材した。
About MIZUNO “WAVE RIDER”
Natsuki Sato(MIZUNO)
Interview
ミズノ グローバル研究開発部 次長
佐藤夏樹
佐藤夏樹氏プロフィール
島根県出身。母親は小学校教員、父親は高校の保健体育の先生という環境で育ち、小中高大学までバスケットボール部に所属。スポーツメーカーで働きたくて新卒で1997年にミズノ入社。希望したシューズの開発チームに1年目から配属。砲丸投げシューズを担当する。ランニングシューズ担当の先輩開発者の下で製品評価などを担当し、ウエーブライダーのデビューに立ち会う。その後、専任のウエーブライダー開発担当となりウエーブライダー6から12までを手掛けた。アメリカ駐在などを経て、2020年3月まではグローバルフットウエアプロダクト本部で技術開発を担当、2020年3月からはグローバル研究開発部にて研究開発全体のディレクションに関わる業務を担当している。
ウエーブライダー1の発売当時、
足より靴箱にフィットする靴みたいだって
酷評されたんです。最悪な評価でした。
–––ミズノさんにとってのウエーブライダーとは、どんな存在なんでしょうか?
特別ですね、やっぱり。1997年に初代が発売されてから、今のウエーブライダー23に至るまで進化させながらずっと続けているので。ウエーブライダーの歴史イコール、ミズノのフットウエアの歴史でもある。ミズノのフットウエアを代表するモデルであり、象徴でもあると思ってます。
–––ミズノさんの代名詞みたいな
実際に社内でも言ってましたけど、アシックスさんだったらGEL、ナイキさんだったらAIR、ミズノにはWAVEっていう風に育てていこうと立ち上げた当初からそれがありました。
–––1997年にデビューした時の反応はどうだったんですか?
ランニング先進国のアメリカ・ニューヨークで記者会見もして大々的にデビューさせたんですけど、市場の反響はあまり良くなくて・・・。ランニング専門誌『RUNNER’S WORLD』でも、重いしフィット感も悪いし、足より靴箱にフィットする靴みたいだって書かれて酷評されたんです。最悪な評価でした。
–––そうだったんですね…それで改良してウエーブライダー2を?
はい。ウエーブライダー1の悔しさを晴らすために、みんな必死で頑張って大幅に改良したのがウエーブライダー2なんです。
–––ウエーブライダー2の評判はどうだったんですか?
今度はそれが真逆の反応でもの凄く評判が良かったんです。『RUNNER’S WORLD』でもエディターズチョイスっていう一番いい賞をもらいました(笑)。
–––なんかドラマみたいな話ですね
そうですね。でも、ウエーブライダー1は、あれはあれですごかったと私は今でも思ってるんです。あの当時、プレートをミッドソールのスポンジの間に挟むってことは誰もやってなかったんですね。みんな素材開発を一生懸命やってて、クッションを出すためのクッション材、安定性を出すためのちょっと硬い材料、それ組み合わせるみたいなことをやってたんです。でもミズノだけがプレート挟んじゃうみたいなことをやっていて。なので、当然難しいこともいっぱいあって、当時はうまくいかないことが実際あったんですけど。ウエーブライダー1の発想がなければ、すぐに次を改良することはできなかったんです。記念すべきKAZOKU第1弾でミタスニーカーズがウエーブライダー1を復刻してくれた時には本当に嬉しかったです。
WAVE RIDER 1 “NO BORDER” “mita sneakers” ”LIMITED EDITION for KAZOKU”(2018)
ウエーブライダー歴史の中で
より完成度が高まったのが
ウエーブライダー10
–––それではウエーブライダー1と10の違いを分かりやすく教えてください
一言で言うと、新たに追加したスムーズライドという新しい価値がプラスされている所です。
–––スムーズライドとはどんな機能なのでしょうか?
スムーズな体重移動を可能にする機能です。それがウエーブライダー1にはなかったんです。ウエーブライダー1を発売した当時は、とにかくシューズの機能はクッションとスタビリティー(安定性)だったんです。簡単に言うと安全で怪我しにくいという機能。その怪我予防っていうのが提供価値になっていたんですけど、それがある程度満たされ、次って考えた時にコンフォート、快適さ、となったんです。それまでは、快適性=フィット感で全部片付けられてたんですけど。フィット感って主にアッパー部分でつくられるんですけど、ランニングシューズなので、走ってるときのソールに快適さ、コンフォートってあるんじゃないかと。それが乗り心地じゃないかっていう考え方で、クッションとはまたちょっと違う切り口で「いかにスムーズに走れるのか?」をテーマにスムーズな体重移動を研究しました。
スムーズな体重移動を可能にするために設計されたウエーブプレート
–––それでスムーズライドが生まれたんですね
はい。ライド感っていう、乗り心地という新しい価値を提供するという目標が立てられたときに、乗り心地って、つかみどころがない感覚なので何とか定量的に数値化できないか考えたんです。それからいろんな業界を調べました。乗り心地っていう意味では新幹線もそうですし、自動車業界でもすごい研究は進んでいました。それ以外にも、乗り物系なんですけど、船とか馬とか、本当に乗り心地っていうキーワードで調べると、いろんな業界での研究が出てくるんです。そこで行きついたのが「振動」というキーワードでした。乗り心地の良さを左右するのは実は振動からきていると。それでランニングしてるときに足回りで起きてる振動にヒントがあるんじゃないのかっていうので、研究チームと一緒なって開発したんです。
佐藤氏のアイデアノート。膨大な量の企画、構想、デザインなど、思い付いたらいつでもどこでも書き留めているそうだ。その日々の努力の積み重ねがウエーブライダー10の成功に結び付いた。
––––ウエーブライダーの歴史の中で分岐点となったのは、ウエーブライダー10だったんですか?
実はウエーブライダー8である程度形が出来上がった感触はあったのですが、より完成度が高まったのがウエーブライダー10ですね。
WAVE RIDER 10 OG
–––ウエーブライダー10は、セールス的にはどうだったんですか?
作り手が手応えのある感じでできたと思ったら、ユーザーからも好評で売り上げも伸びました。ウエーブライダー8でかなり伸びたんですけど、ウエーブライダー10はさらに良かったんです
–––社内でも佐藤さんの評価がすごく上がったんじゃないですか?
そこはよく分かんないですけど(笑)。会社から貢献したと表彰してもらったのは覚えています。そういう意味でも、私自身も特に思い入れが強いのがウエーブライダー10になりますね。
ウエーブライダー10は、スムーズな体重移動を可能にするために、コンポジットタイプ(複合)のウエーブプレートを採用。コンポジットの考え方は、適した材料を適した場所に配置する考え方でナイロン、熱可塑性ポリウレタン、VS-1(衝撃吸収材料)など適材適所に配置されている。
スムーズライドを実現するために、コンピューターシミュレーションを使って、波の形、数、角度、カーブの向きなど、振動が小さく一番心地よく走れる体重移動を考え、どの波を組み合わせればいいのかを繰り返し検証する。ウエーブライダー8で創造されたウエーブプレートもウエーブライダー10でより完成度高く仕上がったという。
アウトソールの突起のデザインもより滑らかな走りを実現するため微調整を何度も繰り返したそうだ。ソールの溝の線一本、微妙な深さの違いで走りに影響が出るらしい。気が遠くなる地道な作業を積み重ねてはじめて乗り心地の良いランニングシューズが誕生する。
–––ウエーブライダーも23代目まできました。未来のウエーブライダーについての考えを教えてください
ミズノのランニングシューズの中で一番ファンが多いのがウエーブライダーなんです。パフォーマンスランニングシューズで一番売れているモデルですので。でも、ウエーブライダーって、すごく合うランナーとそうでもないランナーに分かれることが最近分かってきたんです。なのでウエーブライダーが合っている人に対して、今のレベルではなくて、もう一段、もう二段ぐらい気持ちいい走り心地を提供できるんじゃないかと考えています。万人に合わせようとすると、どうしても中途半端になってしまうのでウエーブライダー好きの人が本当に満足するモデルに進化させることを第一に考える。そこをクリアした後に、合わないなっていう人に対して考えていきたいと思っています。
Mode Name: WAVE RIDER 10 OG
Color Name: WHT/RED/NVY
Size Range: 26.0cm~29.0cm
Price:¥15,000+tax
INFORMATION
MIZUNO
http://www.mizuno.jp/mizuno1906/
ミズノお客様相談センター
0120-320-799