Photo : Kazumasa Takeuchi (STUH)
commentary : Masahiro Minai (Runners Pulse)
Text & Edit : Shin Kawase

FILA GRANT HILL III(1997)&
GRANT HILL's GREAT TRAJECTORY

前号でお伝えしたように、フィラのスニーカーの真打ちが市場に戻ってきた。1990年代のNBAで活躍したグラント・ヒルのシグネチャーモデルの復刻である。現在、ディスラプターの世界的な大ヒットにより、ディスラプターがフィラの代名詞になっているが、多くのスニーカーファンの中ではフィラといえばバスケットボールシューズであり、その顔がグラント・ヒルなのである。グラント・ヒル 3がついに登場した。改めてその偉大な軌跡を紹介する。

GRANT HILL III (1997)
Original Model
NAVY / WHITE

Commentary by
Masahiro Minai (Runners Pulse)

1990年代からNBAに興味を持っていた古くからのバスケットボールファンにとって、グラント・ヒルは印象に残るプレーヤーの1人だろう。1994年、NBAドラフトの1巡目3位で指名されてデトロイト・ピストンズに入団。ルーキーシーズンから1試合あたり19.9点、5.0アシスト、6.4リバウンド、1.77スティールという好成績を収め、ジェイソン・キッドとともに新人王に輝いた。そして、彼の凄いところは実力に加えて、ファンからの人気も高かったところ。そのことは1995年のNBAオールスターゲームでシャキール・オニールを抑えてファン投票トップで選出されたことでも証明されている。北米4大プロスポーツリーグにおいて、新人がファン投票で1位を獲得したことは、それまでなかったのだ。そんなグラント・ヒルにはフィラからシグネチャーモデルが与えられていた。初代モデルは、他ブランドとは全く異なる曲線を強調したのが印象的。第2弾モデルはアトランタ五輪の際のドリームチーム3のメンバーに選出された彼のために星条旗カラーの限定版も用意された。そして第3弾となるグラントヒル3は、ミッドソール上端をアッパーに巻き上げた独特な存在感あるデザインで人気に。ローカットもラインナップされていた。今回、このグラントヒル3の再リリースを歓迎するスニーカーフリークは少なくないはず。最近、ストリートシーンにおけるバスケットボールシューズの躍進が顕著だが、このプロダクトの復刻は、そのトレンドにピッタリ合致していると思う。
解説：南井正弘

GRANT HILL III (2020)
FILA NAVY / WHITE / FILA RED
￥14,000+tax

GRANT HILL III(2020)
BLACK / BLACK / WHITE
￥14,000+tax

GRANT HILL’s Great Trajectory

GRANT HILL OLYMPIC (1996)
WHITE / NAVY / RED

Commentary by
SHOES MASTER Magazine

NBAで一時代を築いたスーパースター、グラント・ヒル。デビューした年に新人王、7度のNBAオールスター選出、アトランタ五輪男子バスケットボールアメリカ代表など、輝かしい成績を収めて2013年に現役引退。一昨年、グラント・ヒルがフィラと生涯契約を結んだことが発表されると「GL 96」と表記されていた90年代を代表するバスケットボールシューズのグラント・ヒルシグネチャーモデルは、モデル名として「グラント・ヒル」が使われるようになった。上下の写真のオリジナルモデルは、日本のスニーカーファンが所有していた私物である。グラント・ヒルの引退から7年が経った今でも、その勇姿が目に焼き付いているのだろう。スニーカーのコンディションを見れば、いかに大切に保管されていたかがわかる。彼のシグネチャーモデルは、業界では有名なシューズデザイナー、ケビン・クローリーらによってデザインされ、他ブランドとは一線を画す、独創的なデザインとミッドソールに内蔵された独自のテクノロジー、フィラ2Aシステムなど機能性にも優れ、ファーストモデルから人気を博した。本物は色褪せない。それはいつの時代になっても。改めてグラント・ヒルの功績に敬意を表したい。
SHOES MASTER編集部