Photo : Masataka Nakada (STUH)
Edit & Text : Shin Kawase

Evolving Mizuno Sports Style
About Mizuno × 24KARATS × mita sneakers
Shigeyuki Kunii (mita sneakers)
Interview

日本が世界に誇るアーティスト、空山 基氏との共作モデルが発売後に即ソールドアウトしたことで話題となったミズノスポーツスタイル。スニーカーというより、芸術作品のような仕上がりで、ミズノの物作りのポテンシャルの高さを改めて証明する結果となった。次に登場するのは、ミタスニーカーズの国井栄之氏。進化するミズノの最新作について取材した。

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すべては24カラッツチームとの
雑談から生まれた

–––今回、コラボレーション第2弾をリリースするに至った経緯を教えてください
2019年にウエーブライダー 1でコラボレーションをして、海外でも国内でもいい感じに反響があったんです。お互いに単発で終わらせる気はなかったけど、コロナの問題もありましたし次期を決めてやるっていうことはなくて…。基本のスタンスとして、お互いの意見が合致した時にはじめて一緒にやろう!って感じなんで、次はどうしようかと考えていた時、ミズノスタッフから「2021年の春にコンテンダーを満を辞して復刻する」と聞いたんです。国内外のスニーカーヘッズからSNS上でも復刻希望の声は届いていたし、個人的にずっと注目していたモデルだったので来た!と思いました。24カラッツチームに聞いたら彼らも直感的にいい!となって第2弾の企画がスタートしました。

Mizuno × 24KARATS × mita sneakers
WAVE RIDER 1 “24Karats x mita sneakers”(2019)

※Sold Out

–––ベースモデルになった“CONTENDER”(コンテンダー)とは?
コンテンダーは、1995年に発売されたトレーニングシューズで第1弾のウエーブライダー 1の数年前に出たモデルになります。24カラッツチームとのミーティングの中で挙がったキーワードやテーマを加味した上で、そのテンションに合わせるんだとしたら、コンテンダーが合うとお互いに思ったんです。

Mizuno Sports Style
CONTENDER OG

–––今回のテーマを教えてください
テーマは、アメリカンチャイニーズに行くと必ずある定番メニューの「ビーフ&ブロッコリー」です。通称、ビーブロ。ビーブロって、ティンバーランドのブーツの中にもビーブロって呼ばれてるカラーがあるんです。普段も「ああ、これビーブロカラーだ」って普通に言っちゃうんですけどね。

※Beef & Broccoliイメージ

–––国井さんは、カラーはもちろん、料理としてのビーブロも好きなんですか?
はい。僕らはみんな大好きです。20代前半に初めてニューヨークに行った時にも、コロナ前に出張で行った2019年にも食べました。20年前くらいはラスベガスで行われていたMAGICっていう展示会に行ったついでに、ロサンゼルスやニューヨークに立ち寄って日本未発売アイテムの買い付けも少ししてたんですよね。その合間のランチや遅くなっちゃった時にサクッと食べるパンダエクスプレスっていうチェーンストアがあって、その中でチャーハンか焼きそばを選んで、おかずを何品か選ぶんですけど、その中にビーブロと、オレンジチキンがあって。僕らの中でそれが絶対的な定番だったんです。特にヒップホップカルチャーに影響されてる人たちとか、90年代を知っている世代の人からすると、ビーブロってひとつの定番の食べ物でもあるけど定番のカラーリングでもある。ビーブロのカラーリングを見たら90年代の時代感があるっていう。お題を何にしようとかと打ち合わせしている雑談の中で「ビーブロいいよね」みたいな話になったんです。ただ単純にそれだけだとつまらないから、ドル札入れてとか、てんこ盛りをしてみようっていう感じで。

–––すべては24カラッツチームとの雑談から生まれたんですね
はい。第1弾が終わった後、次のキックオフのタイミングでも、その日話さなきゃいけない話よりも、脱線して雑談が多くて…。その雑談の中でビーブロの話になって。アメリカに行くと、今でも滞在中に1回は絶対に食べるよねって。いや、1回じゃない、いっぱい食べちゃうねって(笑)。すごい説明しづらいんですけど、雑談の中で自分たちのルーツとか、なつかしい話とかをサブリミナル的に全部載せたらこんな靴ができましたっていうのが実際のところですね(苦笑)。なので、ビーフ&ブロッコリーをテーマに、そのカラーリングを忠実に載せましたっていうわけでもなくて…。

本当はしゃべっちゃいけない
話なんですけど・・・

–––いつもコンセプトを理詰めしている国井さんにしてはめずらしいですね
実は…本当はしゃべっちゃいけない話なんですけど・・・。これじゃなくてもう1足、90’Sワークをテーマにしながら、桜のモチーフをあしらったコーデュロイベースのスニーカーを作ってたんです。4月発売なので春らしく。共通項として24カラッツチームは中目黒だから目黒川沿いの桜と、ミタスニーカーズは上野公園の桜があるので、前回と同様に東京メトロ日比谷線で繋がっている駅番番号01(中目黒駅)17(仲御徒町駅)を入れて。でも、僕らよりも先に発売するパリのスニーカーショップであるシンゾウが企画したモデルとテーマがかぶってしまったんです。シンゾウは、日本のブランドだから日本をテーマに桜だったんですよね。コーデユロイという素材もカラーリングまですべて全部かぶっていて…。だったらウチらは辞めようと。

Mizuno × 24KARATS × mita sneakers “Drop Sample”
※Not for sale

Mizuno × SHINZO

 

結果的には面白いものは
出来たと思います。

–––そうだったんですね。だから歯切れが悪かった(苦笑)。
もともとこういうコンセプトでって、バッチリ決めてやることが多いんですけど…。それでちょっと歯切れの悪い感じで答えてしまいました、すみません(苦笑)

–––いつもは明確に流暢に話すのに?と思ってました(笑)。
すみません…。今回は本当にイレギュラーで、プランAがリリースできなくなったから、雑談の延長で作ったプランBを商品化することになった感じです。24カラッツチームとはジェネレーションが違うんですけど、1990年代のヒップホップやダンスカルチャーを根底にしたスタイルを提案しているブランドなので、カルチャー的にも親和性があったりする。好きなものってやっぱり、みんな世代に関係なくルーツを辿るじゃないですか。それで調べたことと、その当時を実体験してる人とで、なんか濃くしてくっていうか。だから、そういう雑談の結果がこれだったんです。結果的には最初に企画したものより、こっちの方が面白いものは出来たと思います。

–––国井さんにはめずらしく、今回は感覚的なノリで作られた一足なんですね
ミタスニーカーズ単体としてコラボレートモデルを組み上げる時はベースモデルのバックボーンを織り交ぜながら、モダンな理詰めが多いのですが、トリプルネームの時はパートナーの感性がデザインに直接的に反映されることも多いです。偶然の中の必然というか。

–––コラボレーションモデルでこだわっている所は?
90年代はリップストップの生地を使ったアイテムが沢山あったので、意識した素材使いや風合いも大切にしています。あと、ドル札のプリントにおいてもミズノチームに何回も何回もやり直しをお願いしながら試行錯誤していただいたおかげもあって、最終的に納得のいくクオリティに仕上がって満足しています。あと、これは24カラッツチームの見解ではなくて個人的な主観で、僕はこのBグレード感が半端なく良くて気に入っているんです。

–––Bグレード感とは?具体的に教えてください
ビーフ&ブロッコリー(Beef & Broccoli)ってB級グルメじゃないですか。ブート感(Bootleg)もあり、Bボーイ感もあり、しかもプランBをリリースするっていう。すべてBで雑談から生まれたBグレードなノリで完成した一足。ドル札柄は、チャイナタウンに行くと全面ドル札のプリントがしてある、どっかのスポーツブランドの模造品が売ってたんです。90年代は訳の分かんないやつが山ほどあった。ドル札柄はそんな90年代当時のブート感を表現したものです。

 

どうやって履こうって考えなくちゃいけない
靴を久々に作れたなと思っています。

–––今回のコラボレーションモデルをどんな方に履いて欲しいですか?
個人的には若い子ですね。ビーブロだなんとかだって、さんざん90年代のおっさんの昔話しましたけど(苦笑)。そういうのを抜きにして、単純に直感でいいと思ったら履いてほしいです。第1弾の24カラッツとのコラボレーションモデルでは女性からの取い合わせが多かったんです。スニーカーファンだけじゃなく、多方面からいろんな方が興味を持ってくれたので、サイズもユニセックスサイズ展開にして価格も抑えています。高いものが全てじゃないし、安くておいしいものもあったり、安くてもいい靴もあったりする。価格は抑えられてますけど、ミズノが作っているのでタウンユースとしての機能性はバッチリなので安心して履いてもらいたいですね。

–––国井さんも個人的に履きますか?
はい。今回は自分たちが履くために楽しんで作ったスニーカーなので。普段の僕は全身真っ黒だし、シューズラックも黒ベースが多め。もちろんモノトーン以外のアイテムを履くこともあるけど、こういう靴履くときはどうやって履こうって考えなくちゃいけない。でも、逆に言ったら、それが楽しいかなと思います。自分に新しいもの取り入れるときとか、新しいこと始めるときとかって、考えるじゃないですか。靴を履くのに考えることをやめてたから、そういう意味では、そういうきっかけになる靴を久々に作れたなと思っています。

Mizuno × 24KARATS × mita sneakers
CONTENDER “24Karats x mita sneakers”(4月24日発売)

¥15,950

販売店舗:
mita sneakers
24Karats TOKYO
VERTICAL GARAGE NAKAMEGURO
VERTICAL GARAGE SHIBUYA
VERTICAL GARAGE NAGOYA
VERTICAL GARAGE OSAKA
VERTICAL GARAGE FUKUOKA
VERTICAL GARAGE ONLINE STORE
MIZUNO TOKYO
MIZUNO OSAKA CHAYAMACHI
ミズノショップ京都新京極
MIZUNO ONLINE SHOP

 

Mizuno Sports Style
Collaboration model & Inline model
mita Sneakers Selection

ミタスニーカーズでは自身のトリプルコラボレーションモデルだけではなく、その他のコラボレーションモデルやインラインモデル(一般流通モデル)も展開している。ここでは、ミタスニーカーズがピックアップしたミズノスポーツスタイルの2021年春夏セレクションを紹介する。

Mizuno × beautiful people
¥37,400

「何か新しいもの」を提案し続ける今注目のファッションブランド、ビューティフルピープルとのコラボレーションモデル。「美の究極は機能に宿る」をテーマに、ミズノのインフィニティ ウエーブのスケルトンソールと陸上シューズの代表作モデル、クロノインクス9のアッパーを掛け合わせた高機能×高機能のスタイリッシュなハイブリッドモデルが誕生した。

Mizuno Sports Style
CONTENDER OG

¥10,450

1995年に発売されたトレーニング用のランニングシューズ、“CONTENDER”(コンテンダー)を当時のオリジナルカラーをそのまま再現して復刻されたOGモデル。ミタスニーカーズの国井栄之氏が注目していたことでも認知され、KAZOKUプロジェクトの発足当時からコアなスニーカーヘッズに復刻を待望されていたモデル。

Mizuno Sports Style
CONTENDER

¥12,650

1990年代を象徴するスポーティーなルックスのコンテンダー OGを、より現代的でスタイリッシュなスニーカーとしてアレンジしたモデル。ブルー系のカラーリングで統一されたアッパー素材は、やさしい質感の天然皮革と通気性のよいメッシュ素材のコンビネーションで上品な雰囲気を醸し出している。

Mizuno Sports Style
WAVE PROPHECY LS

¥25,300

ミズノを代表するパフォーマンスモデル、ウエーブプロフェシーのライフスタイルバージョンが登場。アッパーパターンやソールはそのままに、ファッションシーンでの使用に特化した材料、カラーリングを採用。ウエーブプロフェシーは、特にファッションブランドとのコラボレーションモデルも多く、唯一無二のソールユニットであるインフィニティウエーブの斬新な構造が多くのファッショニスタの心を掴んでいる。

取材協力
mita sneakers
東京都台東区上野4-7-8
アメ横センタービル2F&1F路面店
03-3832-8346
www.mita-sneakers.co.jp

INFORMATION
Mizuno
www.mizuno.jp/mizuno1906/
ミズノお客様相談センター
0120-320-799

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