Photo : Masataka Nakada (STUH)
Edit & Text : Shin Kawase
DESCENTE GLOBAL FOOTWEAR
“Triathlon Shoes PROJECT” PART3
Finished Product Overview
構想から丸3年。試行錯誤を繰り返しながらも驚異的なスピードで完成したデサント初となるトライアスロン専門シューズ。改めてそのプロダクトの全貌を企画開発担当者である林 亮誠氏に解説してもらった。
–––アッパー素材、アッパーの特徴を教えてください。
このシューズの大きな特徴としてアッパーの外側と内側をひっくり返した構造にしてあることです。トライアスロンで使用する時は裸足で履くため、少しの凹凸で足が痛くなり、それがストレスになり、怪我にもなるんです。だから、逆転の発想で本来内側にあったのをすべて外側に反転させてあります。
レーザーカットしてテープで接着縫製する縫い目がない構造は、水沢ダウンやオルテラインと同じ考え方を活かして作られています。そして素材は、エンジニアドメッシュを採用してあるので排水性がよく軽く仕上がっています。その排水性は、DISCの人工降雨機によって何度もテストを繰り返し完成させています。
–––ミッドソールについて教えてください
デルタシステムという、3つの異素材をコンビネーションすることによって、高い推進性を得るというコンセプトで構成されています。着地の際に反発して推進力があるカルボという曲がるプレートが入っていて(カーボンは曲がらない)、全接地型になっているので、前足部で着地するフォアフット走法でも、ミッドフット(中足部)でも走り方を選ばないオールラウンドタイプなのが特徴となっています。
–––アウトソールとインソールついて教えてください
イノヴェイトで使われいてるグラフェンをトライアスロン用に改良したものになります。グラフェンとは、2010年度のノーベル物理学賞を受賞した新素材で、柔軟かつ伸縮性があり、強さが鋼鉄の100倍もある、今もっと注目されている素材のひとつです。普通であればもっとラバーを分厚くしなければならない所にグラフェンを配合することですごく薄くできる。イコール軽くできるんです。
インソールは、反発性を出しながら、ストレスのない生地にしています。さらにパンチングを開けることで、上から水が入ってもインソールの下に流れて、アウトソールに抜けていく構造になっています。「勝つための一足」という目的で作ってあるのでトライアスロン、トライアスリートが求めるものが全部入った一足に仕上がっていると思います。
DESCENTE GLOBAL FOOTWEAR
“Triathlon Shoes
“DELTA TRI OP”
デサントトライアスロンシューズ
“DELTA TRI OP”(RED)
¥18,000+tax
デサントトライアスロンシューズ
“DELTA TRI OP”(BLK)
¥18,000+tax
デサントトライアスロンシューズ
“DELTA TRI OP”(NVY)
¥18,000+tax
編集後記
デサントのシューズチームがついに動き出した。トライアスロンの強豪として知られるスイスチームと契約し、2020年の東京オリンピックでメダル獲得を目指す。その情報を聞いた時、やっとこの時が来たかと胸が躍った。なぜなら、日本が世界に誇る三大スポーツ用品メーカーのアシックス、ミズノ、デサントの中で、唯一、パフォーマンスシューズの開発をしていなかったデサントが本格的に参入してきたからだ。デサントのテーマは、“Design that moves”(あなたを動かす、すべてになる)。アスリートファーストの考えのもと、取材したDISC(研究開発拠点)では、アスリートと共に一秒でも速く走るためだけの最終テストが行われていた。そこには一切の妥協はなく、スポーツアパレルの雄がシューズの雄にもなるべく本気を出す泥臭く必死な姿があった。構想から丸3年。ついに完成したプロダクトは、世界タイトルマッチ前のボクサーのような、無駄のない究極のフォルム。まさにこれが極限の機能美なのだろう。それは、2008年にスタートした水沢ダウンを初めて見た時の衝撃と同じだった。デサントにしかできない、デサントならではの一足。まだまだ未知数ではあるが、夏のお台場が楽しみだ。
SHOES MASTER & Runners Pulse
プロデューサー
河瀬 真
INFORMATION
DESCENTE BLANC 代官山
03-6416-5989
www.descente.co.jp