Photo : Kazumasa Takeuchi (STUH)
Edit & Text : Shin Kawase
GEL-PTG & GEL-PTG MT
JAPAN MADE (SANIN FACTORY)
~35周年で原点回帰。山陰アシックス工業生産のGEL-PTGが登場~
1983年に誕生したファブレポイントゲッターは、バスケットボールシューズのファブレジャパン-Lの後継モデルとして登場し、当時バスケットボール界に旋風を巻き起こしたアシックス不朽の名作。2017年に“GEL-PTG”という名前のライフスタイルシューズとして復刻され、早くも今、男女問わず幅広い年齢層に支持されるアシックスタイガーの定番モデルとなっている。35周年を機に、山陰アシックス工業(アシックスグループが国内シューズ生産に携わる唯一の工場)でGEL-PTGが生産された。日本製にこだわった真意を知るために企画担当者を取材した。
About
GEL-PTG & GEL-PTG MT
JAPAN MADE (SANIN FACTORY)
Yoshihiro Goshono (ASICS Japan)
Interview
御所野良紘 /
アシックスジャパン株式会社
アスレチック東日本事業部
プロダクトマーチャンダイジング部
–––ファブレポイントゲッターはアシックス社内で、どのような存在なのでしょうか?
アシックスのルーツは1950年に発売したバスケットボールシューズにあります。その後、1981年に登場したのがファブレジャパン-L。ファブレポイントゲッターは、その後継モデルとして1983年に登場し、当時バスケットボール界に旋風を巻き起こしたことで多くの人に知ってもらえるようになったプロダクトです。そういった意味では、アシックスの歴史を語る上で欠かせないヘリテージモデルという存在ですね。僕自身はリアルタイムじゃないのですが、その当時を知る先輩社員からは、学校でファブレポイントゲッターを履いていたら先輩から目を付けられる位に、衝撃的でセンセーショナルなシューズだったと聞いています。独特の粘りがあり、フロアに嚙みつくような強いグリップ力が他にはない魅力で、値段設定も伝説的なバッシュという位置付けをされている要因だそうです。それに対して、1950年発売のタイガー印バスケットボールシューズやファブレジャパン-Lは、神戸のアーカイブルームに大切に保管されているため、その歴史を知らない社員も多いのでシューズ・マスター編集部に取材してもらったファクトブックが貴重な資料になっています。
Onitsuka Tiger FACT BOOK- PILOT ISSUE
©SHOES MASTER All Rights Reserved.
Photo: Osamu Matsuo(STUH),Text: Issey Enomoto
1950
TIGER mark BASKETBALL shoes
タイガー印バスケットボールシューズ
1949年に鬼塚喜八郎氏がオニツカ株式会社(現在のアシックス)を創業するまで、日本国内にスポーツシューズの専門メーカーは存在しなかった。バスケットボールをやるにしても、足元は一般的な運動靴や地下足袋が当たり前の時代。専用のシューズが欲しければ米軍の放出品を手に入れるしかなかった。そんななか、鬼塚喜八郎氏が高校のバスケ部の監督から「体育館でストップ&ダッシュが効く専用シューズをつくってほしい」等の意見を参考にして開発したのが、この「タイガー印バスケットボールシューズ」である。鬼塚氏が開発において重視したのは、監督や選手の意見を積極的に取り入れること。試作を重ねては監督や選手に実際にテストしてもらい、そこから得たフィードバックをシューズ作りに反映し、改良を重ねていく。まさにアスリートファーストの徹底した“現場主義”。いまでこそ当たり前のことかもしれないが、スポーツシューズの専門メーカーがほかに存在しなかった当時、この手法は極めて画期的なものだった。そして鬼塚氏が開発した「タイガー印バスケットボールシューズ」は「オニツカタイガー」と呼ばれるようになり、その評判は口コミで全国へと広がっていった。
ASICSTIGER FACT BOOK- PILOT ISSUE
©SHOES MASTER All Rights Reserved.
Photo: Osamu Matsuo(STUH), Text: Issey Enomoto
1981
FABRE Japan-L
ファブレジャパン-L
バスケットボール経験者のなかには、このシューズを履いた経験のある人も少なくないのではないだろうか。アシックスの「ファブレ」シリーズは、2017年に惜しまれながら生産終了するまで、長きにわたって多くのファンに愛されたロングセラーモデルだ。「ファブレジャパン-L」は1981年に誕生。LはLong、すなわちハイカットであることを表す。分厚い素材が用いられたアッパーは、特に強い負荷のかかるつま先を補強することで耐久性を高めるとともに、日本のトップ選手の足形を計測して生まれた専用ラストを使用することで足へのフィット感を向上。さらにアウターソールは素材の配合を変えることでグリップ力を高めたうえ、従来のスリットソールの原理を応用したグラブフレックスソールを採用することで、縦横斜め方向というバスケットボール特有の動きに適応した。このモデルが登場した同年、軽量化を追求して素材にEVAを採用した「ファブレ スーパーライト-L」、そして1983年にはアッパーにカンガルー革を用いた「ファブレ ポイントゲッター-L」など、素材やディテールにアレンジを加えた後継機が次々に登場。幅広い世代のバスケットボールプレーヤーを魅了し続けた。
2019
GEL-PTG MT
JAPAN MADE(SANIN FACTORY)
–––ファブレポイントゲッターからGEL-PTGに名前が変わりましたね?
2015年のアシックスタイガーのリスタートを機に、見た目は変えずに機能だけを現代版として進化させたかったので、ヒールウェッジ部にゲルを搭載し、“GEL-PTG”という名前で、ライフスタイルシューズとして2017年8月にリリースしました。お陰さまで発売当初から今も好セールスを続けていて、男女問わず幅広い世代に支持していただきアシックスタイガーの定番モデルとなっています。
–––GEL-PTGが老若男女に支持を集める理由は、どこにあると考えていますか?
デザインもすごくシンプルで、アシックスらしいクラシカルなモデルだからだと思っています。ちょっと悪く言えばダサい反面、それを逆に格好良いと捉えて。いわゆる「ダサカッコイイ」というか、その絶妙なバランスが魅力かなぁと。あと、クラシカルなデザインなので色々なファッションスタイルに合わせやすい、コーディネートしやすい、っていうところが老若男女に支持される理由としては大きいと思いますね。あと個人的には、アシックスのルーツであるタイガー印バスケットボールシューズ、ファブレジャパン-Lを経て誕生したファブレポイントゲッターをライフスタイルシューズとして履ける贅沢さが、その歴史を知るバスケットボールファン、スニーカーファンにも支持されている大きな理由だと考えています。
2019
GEL-PTG
JAPAN MADE (SANIN FACTORY)
–––バスケットボールファンといえば、漫画『スラムダンク』※の影響も大きいと思いますか?(漫画の中で名選手がアシックスを愛用)
すごく大きいと思いますね。連載が終了してから20年以上経った今でもバスケットボールファンの間で語り継がれているようですし、SNS等でまたさらに広まった感じですね。漫画と一緒に投稿されているのも結構見るので、そういった意味では漫画も好きで、バスケットボールも好きな人たちには待望の復刻だったのではないかと思います。
※井上雄彦著による高校のバスケットボール部を題材にした少年漫画作品。集英社の『週刊少年ジャンプ』にて、1990年から1996年にかけて全276話にわたり連載され、アニメやゲームも制作された。
–––今回、GEL-PTGが山陰アシックス工業で生産されることになった経緯を教えてください
元旦になにか発売したいという所から企画がスタートしました。ファブレポイントゲッターが35周年という記念の年でもあったので、モデルはGEL-PTGを採用しました。東京オリンピック・パラリンピックも近づいて、日本のメーカーとして何か日本らしいことをやりたい気持ちもありました。元旦から発売する初売りお正月企画。だから日本製であることが絶対条件だと考えました。
–––アシックス社員にとって山陰アシックス工業(アシックスグループが国内シューズ生産に携わる唯一の工場)は、特別な場所なのでしょうか?
特別な場所ですね。基本的にはパフォーマンスシューズをメインに生産している工場です。しかし、今回は日本製であることが絶対条件だったので、かなり前から準備をして、社内プレゼンをして、何とか日本生産を叶えることが出来ました。企画を申請しても却下されることが多いので、僕が言うのも何ですが、アシックスタイガーを日本製で作ることってスペシャル中のスペシャルなことなんです。今後は日本製の企画をシリーズ化できたらとも考えています。
–––今回リリースされるエクスクルーシブモデルのコンセプトを教えてください
コンセプトは「Japaneseness : 日本らしさ」。日本の正月を彩る、金、白、赤の3色をベースに、日本らしさをGEL-PTGに素直に落とし込んだデザインになっています。ソールは日本の初日の出を意識しながら、ライニング(履き口部分)はファブレジャパン-Lと同じゴールドにしてインナーソールは赤にしています。
–––企画する上で一番大変だったことは何ですか?
GEL-PTGってある意味で完成されている靴なんです。シンプルでパーツも少ないのに完成度が高く、アレンジを加えるのが非常に難しいモデルなので、インラインモデルのGEL-PTGと比べて、どれだけ違いを見せられるかっていうところが一番大変で苦労しました。
–––インラインモデルと異なる所、こだわっている所を教えてください
特にこだわったのはアシックスストライプですね。TOP部の白い部分は天然皮革、SHADOW部分はエナメルの人工皮革で、ゴールドがちょっとだけ見える2重構造にして縫い付けてあります。さりげなくちょっとだけ見える所が「日本人の奥ゆかしさ」を表現したつもりです。あと、アシックスストライプの内、1本だけ赤に変えてメリハリをつけています。
–––履き心地を追求するための機能を教えてください
一番の機能は、ファブレポイントゲッターにはなかったゲルをヒールウェッジ部に搭載していることです。ファブレポイントゲッターは、クッション性に若干難があったり、重かったりしたんですけど、2017年8月にリリースされたGEL-PTGからは、特殊なゲルをヒールウェッジ部に搭載することでクッション性が改善されています。
–––最後に読者へ一言お願いします
このGEL-PTGは、元旦に発売されるプロダクトで、アシックスからの新年のご挨拶となる大切な一足です。日頃、アシックスをご愛用いただいている方への感謝の気持ちを込めて作りました。今後のアシックスに期待していただければ幸いです。
ASICSTIGER FABRE POINTGETTER (1983) 35th ANNIVERSARY
GEL-PTG&GEL-PTG MT
JAPAN MADE(SANIN FACTORY)
GEL-PTG MT
CREAM/CREAM
Size: 26.0,27.0,28.0,28.5,29.5cm
¥24,000+tax
GEL-PTG
CREAM/CREAM
Size: 26.0,27.0,28.0,28.5,29.5cm
¥22,000+tax
SALES STORE:
ASICSTIGER ONLINE STORE
ASICSTIGER HARAJUKU
mita sneakers
atmos
KICKS LAB.
UNDFEATED
Styles
YAMAOTOKO FOOTGEAR
UPTOWN
OSHMAN’S
And more…
INFORMATION
アシックスジャパン株式会社 お客様相談室
0120-068-806
asicstiger.com