Photo : Masataka Nakada(STUH)
Edit : Shin Kawase
Italian sports brand since 1959
About ellesse Tanker
YOPPI(Hombre Niño)
Interview
60周年を機にラインアップを一新し、新たに歩み出したエレッセ シューズ。リスタートを機に復刻され話題となった“Assist”(アシスト)の誕生には、エレッセ の歴史を紐解く上で欠かせないYOPPIこと江川芳文氏の存在がある。待望の第2弾モデルが完成したと一報があった。再び彼を訪ねた。(インタビュー収録:2020年7月)
About ellesse Tanker
YOPPI(Hombre Niño)
Interview
YOPPIが初めて語る、
待望の第2弾モデル誕生秘話
–––昨年、念願だったコラボレーションが実現し、アシストがリリースされましたね
30年越しでした。でも、発売後にコロナウイルスの影響で家にいることが多かったせいもあって、ほとんど履けてないんですよね。スケートする時に履きたいんですけど履いてない、もったいなくて(苦笑)。アシスト ハイをどのタイミングでドヤ顔で履くのか、今、悩み中です。
ellesse × Hombre Niño “Assist-Hi & Low”
–––第2弾となるタンカーが完成したそうですね。完成までの経緯を教えてください
そもそもアシストを復刻してもらうにあたって、アシストを追い求めて色々検索する中で、ちょっと面が似てる、すごく気になるシューズがあったんですよ。それがタンカーだったんです。その時は、時系列っていうか、アシストとタンカーと、どっちが先かってあんまりよく分かってなかったんですけど、フィーリングとしてピーンと。実は、アシストを作ってる時には、次はこれやりたいって、もう決まっていたんです。カラーリングもそのままで。
ellesse Tanker(1982)
–––そうだったんですね。でもカラーリングが違いますね
そうなんです。この色は、エレッセ2020年秋冬コレクションのインラインで出すって状況でした。じゃあ、違う提案をしようと思って。15年前位に“eBay”(イーベイ)で探して買ったエレッセの1980年代のセットアップトラックスーツがあるんです。昔それをよく着ていたので、それを元ネタにタンカーにシューズのカラーリングとして色合わせをして、アップデートさせようと。それが第2弾のコラボレーションモデルに至った経緯になります。第1弾の時みたいな劇的なドラマは全然ないんですよ、正直に話すと(苦笑)。
ellesse × Hombre Niño Wind Up Jacket &Pants
Jacket ¥26,000+tax
Pants ¥18,000+tax
Hombre Niño ellesse Tanker
¥16,000+tax
–––本当にぶっちゃけ話ですね(笑)
はい。でも、直感的にピーンときたタンカーが、アシストの元になったモデルだったことを後から知ったんです。1982年に発売されたタンカーから派生したモデルが1984年にリリースされたアシストだったと。それを第2弾モデルのタンカーが完成した後に気付いて、鳥肌が立った。やっぱり繋がっていたんだと納得できたし、腑に落ちた。アシストの元ネタがタンカーだった事実。オーストリアの有名なデザイナー、マーク・サドラーさんがサイドに大きくellesseのロゴを入れたんです。これってアシストと同じなんですよね。
Assist-Hi(1984)
–––サイドに大きくブランドロゴを入れるって当時は画期的だったみたいですね
サイドにブランドロゴ入れたのはエレッセのタンカーが走りだったみたいです。当時かなり話題になって、色んなブランドが真似をしたっていうこともあるし、タンカーがそれだけインパクトがあったってことなんでしょうね。それも全部最近知ったんですけど(笑)。
–––本当に最近知ったことが多いですね(笑)
はい。もっと言うと、10代の頃もアシストをずっとテニスシューズだと思って履いてたので。最近になって資料を読んで、タンカーはテニスシューズで、アシストはバスケットボールシューズだったと知ったっていう。アシストは、エレッセ自体がテニスブランドだから、当然アシストもテニスシューズじゃなかったの?みたいな感じで、僕は勝手に頭ごなしにバッシューはないだろうと思ってました単純に。エレッセはテニスブランドっていう概念しかないから。
–––YOPPIさんが思うタンカーの魅力とは何でしょうか?
歴史も全然分かってなかったんで、すべては見た目のインスピレーションです。具体的には、この何つうんだろう。カラーモードのCMYK的なカラーリングやソールへのカラーの入れ方とか…。やっぱりイタリアみたいな。イタリアの香りが感じられてオリジナリティがあることが魅力なんじゃないかって思います。
ellesse Tanker(2020)
–––このタンカーをどんな人に履いてほしいですか?
ガチのテニスプレーヤーの人に履いてもらって、ドヤ顔でプレーしてもらいたいです。セットアップもありますし、ミヤシタパークのエレッセ トーキョーで買って頂いたら最高じゃないですか。だって、多分、靴とセットアップで売ってるテニスブランドってあんまないんじゃないですかね。しかもエレッセは超有名なテニスブランド。スケーターが昔、テニスプレーヤーのビヨン・ボルグに憧れて、同じ格好してスケートしてたっていう背景もあるので。この感じでスケートボードする子もいてもいいと思うし。そして、そのまんまテニスもできる。
–––じゃあ、テニスプレーヤーとスケーターが履いてくれたら、うれしい?
まあ、そういう勝手なイメージなんですけど、履く人着る人が選べばいいので。あくまで作り手の理想です。
–––販売する店舗を教えてください
全国のオンブレニーニョ取扱店とオンブレニーニョオンラインショップ、ミヤシタパークのエレッセ トーキョーと、エレッセオンラインストアで販売予定です。
Hombre Niño ellesse Tanker
¥16,000+tax (10月上旬発売予定)
Size : 26.0~28.0, 29.0cm
–––第2弾に携わって改めて分かったブランド、エレッセの魅力ってありますか?
テニスブランドだということですかね、僕は全然テニスやんないんですけど。しかもイタリアだし、ユニセックスな感じもありますよね。お洒落で汗の匂いがするようでしない上品なイメージが魅力だと思いますね。創業者が貴族なんですよね。そういったルーツも魅力のひとつなんですかね。
–––今後、エレッセブランドに期待することは?
エレッセに期待するのは、テニスブランドとしての懐の深さと、楽しんでやっている感じと、汗を感じないブランドイメージを崩さないこと。僕、日本で好きじゃないのが小学生からスポーツの入口の敷居が高いじゃないですか。何やるにしても、こうでなきゃ駄目、自転車乗るのもツールドフランスみたいな、こうでなきゃ駄目、ブレーキなきゃ駄目とか。そういうんじゃなくて、ただ楽しいことをどう共存させるかっていう概念がない。テニスにしても、スケートボードにしても、サッカーやバスケットとかもそう。楽しいからやるっていう気分を大前提にやらないと。ただただ練習練習って、子どもが知るのはスポーツの練習はつらいっていう。そういう意味で言うと、エレッセの魅力として汗の匂いを感じないっていうのは、懐の深さがあるブランドだからありそうじゃないですか。テニスコートでスケートボードしても、いいよいいよって。このネットをオーリーで飛び越えられる?なんていうのが。実際、そういう映像もあったりとかするし。だから日本も入口が楽しそうで、色々なスポーツと一緒に共存できる環境というか雰囲気とかって多分、スポーツメーカーがやるべき課題なんじゃないかなって思いますね。
YOPPI / 江川芳文 (えがわ よしふみ)
1972年、東京・経堂生まれ。15歳よりプロスケーターとしてのキャリアをスタートさせ単身で渡米。10代の後半は東京とアメリカ西海岸を往復する生活を送る。プロスケーターの傍ら1994年、自身のショップ“HECTIC”(ヘクティク)を裏原宿にオープンさせ、2012年からオリジナルブランドの“Hombre Niño”(オンブレ・ニーニョ)を設立。国内外問わず、様々なブランドやアーティストとの協業を果たし、裏原宿を中心とした日本のストリートカルチャームーブメントを牽引。2015年春夏シーズン、“XLARGE”(エクストララージ)から新たなレーベル“PLUS L by XLARGE”(プラス・エル・バイ・エクストララージ)を発足し、ディレクターとして活動している。
About Hombre Niño
2012年設立。オンブレ・ニーニョとはスペイン語で “大人・子供”という意味。デザイナーであるYOPPI氏の現在のライフスタイルを根底に構成。スケートボードやBMXなどを介し、大人と子供が共有できるプロダクトを提供している。
ellesse Tanker(2020)
¥13,000+tax
Size : 23.0~28.0, 29.0cm
About ellesse Tanker(1982)
エレッセ創業者レオナルド・サルバディオが、オーストリア出身のデザイナー、マーク・サドラーにデザインを依頼し、1982年に誕生したテニスシューズ。フットウエアの歴史上、初の他業種デザイナーとのコラボレーションモデルだった。軽量ナイロンとレザーパネルを混合することで通気性を向上させたアッパーと様々なサーフェイスでの最適なグリップ力を発揮させるために、大きく盛り上げられたアウトソール。サイドに配された大胆なブランドロゴは、近未来的なデザインとして多大な影響を与えた。そのタンカーのデザインを継承して1984年に登場したのがバスケットボールシューズのアシストである。
About ellesse
エレッセは、1959年にイタリア・ペルージャで誕生したスポーツブランド。創業者は、貴族の血を受け継ぎ、スポーツをこよなく愛したレオナルド・サルバディオ。各国の王族とスキーやテニスを嗜んだ彼は、スポーツシーンに機能と気品を求め、革新的なスタイルを生み出した。1960年代に風の抵抗を軽減させ、美しいシルエットのスキー用パンツ、ジェットパンツがヨーロッパで大ヒット。1970年代には白一色のテニスウエアに美しいカラーリングを施し、トッププレーヤー達が愛用したことで世界的に知られるスポーツブランドとしての地位を確立した。ロゴマークのハーフボールマークは、テニスボールとスキーの先端を形どり、情熱の赤とイタリアの太陽のオレンジで彩られている。
INFORMATION
Hombre Niño
https://www.hombrenino.com/
ellesse
GOLDWIN INC. 0120-307-560
https://www.goldwin.co.jp/ellesse/